隠れてコソコソ。
「ふーん……ここか」
「愛花姉ぇが好きそうな感じだね、確かに」
アキ姉ぇと一事的な同盟を組んで愛花姉ぇと楓太兄ぃを尾行。愛花姉ぇは楓太兄ぃになにか特別な感情は抱いていないはずだから、なにも心配することはないんだろうけど。
だからといって大人しくしていられないのが乙女心。
その結果、ここまで後を追ってきている。
「入るぞ、でかい声出すなよ」
「アキ姉ぇこそ」
私とアキ姉ぇは二人とは少し間を開けてお店に入る。
楓太兄ぃたちはお店の角席。後方から覗く分にはちょうどいい位置だった。
ソレとは別に、普通にお店の雰囲気が良くて個人的にそういうソワソワもあった。楓太兄ぃたちの様子も気になるけど、何食べようかなともしっかり考えていた。
アキ姉ぇはそういう感じでもなかったけれど。
「おいおい、なんか二人で写真取るみたいだぞ……」
「ツーショットってこと? ……それはずるいなぁ」
そう考えると、今みたいに楓太兄ぃのことを意識してしまう前に、もっとたくさん二人だけの写真も撮っておけば良かったとちょっぴり後悔。
愛花姉ぇはなんの気兼ねもなくツーショット取れるから羨ましいなぁ。
「……良いな」
「ね。……私も帰ったらお願いしようかな」
勝手に後をつけて、ダメージを負う。
だけど私達のダメージはそれだけでは済まなかった。
愛花姉ぇたちと、私達のテーブルにそれぞれ注文したものがやってきてド派手な見た目と期待を裏切らない甘味に頬を落としていた頃。
先に食べ終えたらしい楓太兄ぃたちを見ていると、それは起きた。
「わっ……!」
「なっ……!?」
なんのためらいもなく、楓太兄ぃの口元についていたクリームを指で拭い取り、それを口の中へ持っていった。
いくら意識してなくて平気だからって、大胆すぎるよ……!
「ぐ、ぐ……なに顔赤くしてるんだ……」
アキ姉ぇも言うように、間接キスよりもハードルが高そうな行為に楓太兄ぃも照れ照れしている。
そんな顔を見ると、やっぱり少し悔しい気持ちが湧いてくる。私は愛花姉ぇのように大人びてはいないから、アレを私がしても同じような反応が見られるとは限らないから。
「……いくぞ」
「……うん!」
悔しいけれど、私達だって負けられない。
先にお店を出た楓太兄ぃたちを更に追いながら、私は、私達は負けん気を強くした。
絶対、諦めない。
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