予想外。
「女の子として好きな方、って言われても……」
「じゃあ一つ聞くけど……ミヤは僕のこと可愛いと思う?」
「まぁそうだな。可愛いと思うぞ」
「はいっ、それ! それ! 本気で好きな女の子相手ならねぇ、今のがさらっと言えないんだよ」
「そういうものなのか?」
「男の子はね、そういうものなのだよ」
そういうものなのなら、そうなのだろう。
頭の中で、アキラと叶の事を想像してみる。
確かに二人共可愛いし、付き合えばそれは楽しい日々が送れる事だろう。お互いの好きなものやなにやらも、既に知っていて1から関係を始める人たちよりも順風満帆に進むだろう。
けれどやはり、頭に浮かぶのは、もしも選ばなかった場合の、もう一人。
それが俺の決断を歪ませる。
「大方、どっちかの事を考えると決められないってところでしょ? そんなの考えたって仕方ないじゃん、まさか二人とも選ぶなんてことも出来ないしさあ」
「それはもちろんそうなんだけど……俺自身、好きとかそういうの、わかんねぇしさ……」
「なに、初恋もまだなの?」
「そうなるな……」
自慢じゃないが、俺の初恋はまだだ。
胸が苦しくなるような体験も、想いで夜も眠れない体験は今でも未体験。
だからアキラと叶の気持ちは……正直に言うとわからない。
俺に、そう想うだけの何があるというのか。
「ミヤはね、考えすぎなんだよ。僕たち高校生の恋愛なんて、そんなに重く考えなくていいと思うぜ? 付き合う前からセックスする奴らもいるんだから」
「……付き合う前から、か」
それを言われると、俺もアキラと叶とは付き合う前からキスをしてしまったということは、世間からみればどう思われるのだろうか。
人によるのかもしれないが、俺としてはやはりあまりよろしくはないと感じている。貞操観念は高くあるべきだ。
「ミヤはちょっと堅苦しすぎるんだよ。まぁそれが良いところなのかもしれないけどさ。うちのお兄ちゃんなんて、彼女はとっかえひっかえだよ」
「とっかえひっかえね……もしもその人なら、こんな状況。どうするんだろう」
「さぁね〜、さすがにそんな体験はないだろうし。せっかくだし訊いてみる? 今なら会えると思うよ」
小町のお兄さん、か。
存在は知っていたけれど、実際に会ったことはなかったな。小町の言う通り、ここは同じ男性からの意見も欲しい所だし、お兄さんの都合が合うのなら、そうさせてもらいたい。
「お、今からでも会えるって。じゃあここに呼んでもいい?」
「あぁ、頼むよ」
★★★
そして、小町がお兄さんに連絡をしてから数十分後。
お兄さんはカラオケルームについにやってきた……のだが。
「お? あれま、マジ?」
「え?」
初めて会うはずだったそのお兄さんは──羅生門元幹部。
御剣恭弥だった。
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