僕らの一日だけの戦争 Part6
この個人編になるとやっぱりブックマークが減っていっているのを見ると、なんだか複雑な気もしますが……今更変更もしません! なんなら、あと二回分ありますからね!
「ぐぁぁぁぁっぁ……っ!」
「結構頑張るじゃ〜ん! あっそ〜れもういっちょ!!」
「くっ、ぅぎっ……!」
左手の指は全て釘で固定されている。
そしてその指の、爪の間に細い針を差し込んでいく。動けば激痛、しかしその痛みに耐えるために身を固まらせる。
気が狂いそうなほどの痛みに、悶え苦しむことも出来ない。
「よかったじゃねぇか、いてぇならまだ神経通ってる。ま、このまま放置してたらどうなるか知らねぇけど」
「……れ」
「あ?」
「くそったれが……!」
楓太は決して聖人ではない。
見に覚えのない理不尽、そしてかかる災難全てに何もなかったかのようにニコニコと笑顔で乗り切ることなんて出来ない。
特に、今だってそうだ。この状況には心の底から苛立っていた。どうしてこんな目に、俺が一体なにをしたんだと。
しかし、それは愛花に対しての怒りではない。
──目の前の小田切に対しての怒りだ。
「理解ができねぇよ、こんなふざけた真似しやがって……」
「理解されようとも思わないね。それに、いくら強がったところで……」
「こんな事でもしなきゃ、痛い目見せられねーのかよ……」
「……あぁ?」
さんざん溜まっていたフラストレーションを楓太は徐々に開放していく。
「こんな風に動けない相手にしかイキがれないんなら、さぞやお前は大した事はねぇんだろうなぁ! 度胸のねぇ三下野郎が!!」
「……誰に物を言ってんだ」
「テメェだよ、雑魚」
その言葉がよっぽどに気にいらなかったのか、小田切は楓太を椅子毎蹴り飛ばした。
頭をぶつけることは免れたが、背中への衝撃のせいで息が止まった。
咳き込む楓太を小田切は見下ろしている。
「てめぇが死に急ぎ野郎ってことはよーく分かった。望み通りに拘束解いてやるよ」
そう言いながら本当に腕と足の拘束を解いた。だが指を貫通する釘はそのままだ。
「俺は徹底的に相手に言い訳はさせたくねぇんだよ。拘束されていたからどうにもできない、そんな相手に卑怯だとか……それに俺は、こうやってチャンスを与えてそれを粉々に砕くのが好きなんだよ。……つーか、それ以前にだ。おまえ、タイマンで俺とやりあえば負けねぇとでも思ってんのか?」
小田切の視線は冷たい。格下相手の、その辺に転がる路傍の石を見るような。
それに対して楓太も睨み返す。
その目から漂うものは、撤退や後退のものではなく。
前進──勇敢に、目の前の男に立ち向かう勇気だった。
「やってやれない事はない──お前なんか俺がぶちのめしてやる!!」
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