表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
居候高校生、主夫になる〜娘3人は最強番長でした〜  作者: 蓮田ユーマ
『羅生門』VS愛花編
36/134

僕らの一日だけの戦争 Part2

「楓太、怪我が治ったからってそんなにいろいろとしなくてもいいんだぞ?」

「いやいいんだよ、動けるなら動いていたほうが落ち着くからさ」


 骨折も治った楓太は本格的に家事を再開した。姉妹たちに心配されながらも、まるで何かを紛らわせるように掃除に洗濯に勤しんだ。


「何かあればすぐに言ってくれよ? なんでも手伝うからな」

「あぁ、そうさせてもらうよ」


 気遣いも少しだけ、何かを勘ぐってしまう。本当に善意からの物なのはわかっているのだけれど、いかんせん小心者ゆえなかなか気持ちよく受け取れない。


「よし、なら買い物は私が行ってこよう。その間に楓太も家のことが出来るだろう?」

「そうだな、じゃあお願いできるか?」

「任せてくれ」


 楓太から今夜夕食に使う食材のメモと、必要な分のお金を貰いスーパーへ向かう。

 夏休みももう終わり、二学期が始まっている愛花たち。叶は受験勉強、アキラはまた何か不良たちに絡まれているらしい。

 平凡なスタートを切ったのは、愛花だけだった。


「さて、今夜は……」

 

 もらったメモに目を通す。

 キャベツに玉ねぎ、シチューの元。他にもいろいろとあるが、最後に短い文章があった。


『なにか一つ、愛花の好きなアイスを買ってきていいよ』


 お駄賃のようなものか、お使いに行ってくれた愛花にそんなご褒美。些細なものかもしれないが、愛花の口角は少し上がった。


 甘い物が大好きな愛花には十分なご褒美だった。


「何にしようか……」


 早速どれにしようかを迷っていた。ある意味姉妹の中で誰よりも子供っぽいのかもしれない。

 最終的に選んだものは、定番のチョコでモナカなバニラアイス。


 頼まれた物を全て買い揃えて、愛花はアイスが溶ける前に早く帰ろうと店を出た。

 しかしそんな愛花の足を止める者が現れた。


「八月朔日愛花だな」

「そうだが。なんだ、お前たちは」


 三人組のいかにもガラが悪い男たち。

 

「俺達は『羅生門』。我らが花谷武尊が仕切るチームだ……今日はおまえに話があってやってきた」

「手短にしてくれ、アイスが溶ける」


 そう言って手に持つ買い物袋を胸の位置まで持ち上げる。

 

「八月朔日愛花、『羅生門』に入れ。俺達のリーダーはお前を欲しがっている」

「そうか。だが断ろう、わざわざ出向いてくれたが、悪かったな」


 当然断るが、早々に立ち去ろうとした愛花を素直に帰すわけもなく、愛花の肩を掴んで引き止めた。


「お前、拒否権があると思ってんのか?」

「……お前たち、いいんだな? お前たちから仕掛けてきたんだからな」

「あ? お前なにいっぃ……」

「あ!?」


 瞬速。  

 乾いた音が響いたかと思えば、肩を掴んでいた男はコンクリートに倒れていた。

 

「目が覚めたら、その花谷とかいう奴に言っておくんだな。誰かは知らないが、お前のチームには絶対に入らないと」


 その言葉を最後に、残りの二人も意識を飛ばされる。

 だがこの一件が、さらなる騒動を引き起こす事になるとは、愛花は想像していなかった。

今回と読んでいただきありがとうございます!

よろしければ感想や評価★★★★★をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ