パンツ、パージ。
近々短編を投稿しようと思っています。
少しファンタジー要素のある現実世界恋愛物です!
どうしてこうなった、と考えている頃には上半身裸のパンツ一丁、そして骨折している腕のギプスに乾いたタオルを巻き、その上からさらにビニール袋を被せれば準備万端。
なのだが。
「え? アキラ今なんて」
「だから、その。パンツ。脱いだほうがいいかと」
「いやいやいや! む、無理だよ! 全裸は!」
「腰にタオル巻けばいいすよ!」
「それはそうかもしれないが……!」
アキラ曰く、水着ならまだしも下着だと張り付いて気持ちが悪いだろうから、ということらしいが。
「そ、それだと……脱がせるのは……」
「先に腰にタオル巻いてから脱がせば大丈夫すよ! ほらっ……!」
叶たちが中から「楓太兄ぃたちまだー?」と呼びかけてくる。それになんだか急かされてしまった気分になった俺は諦めのようにアキラに身を委ねた。
腰に膝の上まで隠れる程度のタオルをがっちりと巻かれて、多少俺が暴れても落ちそうにはない。
「よ、よし……ぬ、脱がせますよ……」
「お、おう……」
巻いたタオルの下から手を入れて、俺のパンツをアキラが掴む。
爆発してしまうんじゃないかと思うほど、心臓の鼓動が加速していた。全身の血液が駆け巡っていることがよくわかる、思い込みかもしれないが、血管が太いところが特に熱く感じた。
「足、上げてください」
「あ、あぁ」
気づけば足元まで降ろされていて、片足を上げて抜き取ってもらう。これで俺は完全に、布一枚だけを身にまとった状態だ。
「じ、じゃあ中入りましょ、楓太さん」
「そうだな……そうしよう」
これ以上は──いや、既にだが──変な空気になってしまう。早いところ中に入って体を暖めよう。
「もー、何モタモタしてたの二人共」
「ちょっとな……」
愛花は既に湯船に浸かり、叶は頭を洗っている最中だった。3人ともに水着だから異様な光景だし、それは本人たちが一番感じていることだろう。
「まるで温水プールにはいっている気分だ」
「あ、それかも! 私も思ってたんだー」
「ちょっと狭ぇけどな」
最もな感想と湯気が立ち込める中、洗い終わった叶がシャワーで頭を流すと、次に俺をバスチェアに座らせる。
「さぁさぁ、楓太兄ぃの番だよ〜」
温かいシャワーが冷えた体に嬉しい。じんわりと体全体にお湯の膜が貼られていく気分だ。
「よし、じゃあしっかり洗って……」
「待て叶。アタシがやろう」
「え? なんで?」
「……変わってやるって言ってんだよ。おまえは湯に浸かれ」
「えー……なんかアキ姉ぇがそういうこと言うと、優しさよりも何か裏を感じるよ」
「なっ、んなわけあるか! 完全に善意で言ってんだよ!」
きゃー、とわざとらしく悲鳴を上げるふりをしながら、叶は湯船に肩まで浸かる。そして「極楽極楽」と気持ちよさそうに繰り返した。
「どちらでも構いはしないが、楓太もしっかり体を芯から暖めたいだろう」
「わぁっーてるよ。……楓太さん、いいですか?」
「あぁ、頼むよ」
おもえば不思議なものだ。
水着の女の子たちと風呂に入り、そして頭も洗ってもらう……普通ならばありえないシチュエーションだ。
というか、まず前提として女子と風呂に入る事がかなりの難易度なのだが。
「どう、すか? 気になるところとかはないすか?」
「大丈夫、気持ちいいよ」
叶よりも少し大きく感じる手のひらだが、それでも女の子の手だ、とても小さく柔らかく繊細だ。
「耳も……」
余った泡で耳の窪みや、耳裏、耳たぶを少し揉み込む。
確かに耳裏とか、結構臭うとかっていうしな。普段から気を使っているが、実際のところはどうなのだろう?
「流しますよ」
そんな事を考えているうちに、泡が流されていく。さっぱりとした洗い心地はシャンプーのおかげだろうか?
「あ、アキ姉ぇ、自分のシャンプー使ったんだ」
「ん……そうなのか?」
「あ、えぇ、まぁはい……」
アキラたちはそれぞれが自身の髪質にあったシャンプーを個人的に購入して使っていて、なら俺も他の誰かのを使うわけにもいかないから、俺の楓太専用シャンプーもあったはずなのだけれど。
「は、はは。ちょっと間違えちゃって」
アキラは頭をおおげさにかきながら笑ってそう言った。
(同じ香りにしたかったからとか口が裂けても言えねぇな……)
今回もここまで読んでいただきありがとうございます!
気付けば多くの人に読んでもらえていてとても嬉しいです、これからも更新継続がんばります!
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