額に汗と手。
アキラに続いて店内へ入る。先程の灼熱地獄から一旦開放されて、冷風が行き届いているオアシスにたどり着いた気分だ。
「ふー、とりあえずまずは肉かな。マグロあるしそんなに多くなくていいかな」
「時間結構掛かるし、焼ける頃にはお腹具合もちょうどよくなってそうすもんね」
カートを押して肉のコーナーへ。バーベキューとはいえ奮発はできない、なるべくお買い得商品を探さねば。
まだまだ俺たちは質より量で満足できる。大抵の肉は焼いてタレをつければ美味い、そう思える舌で良かった。
「愛花は鶏肉が、叶はウインナーが好きすから、とりあえずこれとこれ……あとは適当にひとつあればいいんじゃないんすかね」
「よし、じゃあアキラは何肉が好きなんだ? それにしよう」
「アタシはなんでも好きすよ。……うーん、じゃあ。楓太さんの好きなのにしましょ。アタシもそれがいい」
そう言って俺からカートを奪い、肉を選ばせようとする。
なんだか気を使われたみたいで悪いな、でもそういうことなら、そうすることにしよう。
俺は特に高価でもない普通の豚肉を取り、それをカゴに入れた。
「いいすね、アタシも好きです豚肉」
「だよな、俺も好きなんだ」
「! ……っ、すよね。アタシも好きです……」
2度も繰り返した。よっぽど豚肉が好きだったのだろうか?
「さて、じゃあ野菜やらキノコやら買って、早く帰って準備の手伝いに加わろうか」
「……はい」
アキラにカートを押してもらって、野菜売り場のコーナーに向かう。
「……もう少しゆっくりでもいいのに」
「おーいアキラー? どうしたー?」
立ち止まっていたアキラを呼びかける。なにやら少しぼっーとしているようだが……。
「あっ、はい……すぐ行きます」
「大丈夫か? 熱中症とかじゃないか?」
普段とは違うアキラにそう疑った俺は、思わずおでこに手を当てて熱を測ろうとしてしまった。
あ、まずい──そう想った瞬間にも、アキラの様子が変わった。
(あっ、あわわわっ……!?)
「あ、アキラ!?」
外で陽にあてられていた時よりも顔が赤くなって、いよいよ俺は本当に熱中症を疑った。しかし俺の心配とは裏腹に、アキラは急にキリキリと歩き出した。
「だっ、大丈夫! ほら全然元気! は、ははは……!」
「ほ、本当にか? 顔めちゃくちゃ赤いぞ? それに熱かったし……」
「本当に大丈夫! ほ、ほらはやく野菜とか買って帰りましょ! 愛花たちも待ってるすよ……!」
ポイポイと野菜を入れて、一気にレジへと向かってしまった。本人が大丈夫と言うならいいけれど……。
「ていうか、黙って顔触るのはいかんよな……」
反省をしながらレジでお金を払い、俺は少し気まずい気持ちで、アキラとスーパーを出たのだった。
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