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居候高校生、主夫になる〜娘3人は最強番長でした〜  作者: 蓮田ユーマ
とある日の八月朔日家。
132/134

愛花の全盛期。


 とある日、八月朔日家のリビングにて。


「全盛期、って言葉があるじゃないか」


 休日の昼下がり、リビングにてまったりしていた所、俺からそんな話題を投げた。


「あるな、けどそれがどうかしたのか?」

「もちろん言葉の意味を聞きたいわけじゃないけど、ほら。3人はさ、番長って事で通ってるじゃないか」


 要は、俺はこの三姉妹の全盛期を知りたいんだ。

 もしかしたらそれは今かもしれないが。


「3人にとっての全盛期って、いつなのかなって」

「そういう事なら、私は今かな〜、生涯現役!」

「それは全然違う意味だろ……まぁでも、アタシも今かな。単純に、どんどん強くなってる自覚があるからな」


 愛花以外の2人は今が最高だと言う。

 と、くれば3姉妹の長女はどうなのだろうか。


「……ん? 私か?」

「なんか澄ました顔でいるしな。あ、でも楓太さん。愛花は多分昔のほうが強かったっすよ」

「あー、確かにそうかも。でも強かった、てより……」


 二人してそこで少々黙り込む。

 昔の方が強かった、という事は合っているようだが他にも何かあるのだろうか。


「強かった、より怖かったの方が強かった」

「強かったで始まり強かったで終わる」

「……いやでも、それはどういう事なんだ?」


 愛花が怖かった、というのも俺にはピンと来ない。

 そりゃあ愛花がいつの日か『羅生門』と戦っていた時は鬼気迫る様子を見た事はある。

 

「言い方を変えれば、今が随分と丸くなったと言うべきかね」

「だねー。愛花姉ぇ、昔はさぁ、お父さんに憧れすぎてちょっと痛々しかったし」

「あぁ、今思えばあれが俗に言う『厨二病』ってやつか?」


 その発言がよほど面白かったのか、叶はゲラゲラと笑っている。端から見てもずいぶん好き勝手に言いたい放題だが、後でどうなっても知らないぞ……。


「そこら辺にしておくんだな二人共……」


 流石に若干腹が立ったのか、腕も組み足も組み、「私は怒っている」感がこれでもかと滲み出ている。

 逆に可愛気が出てしまっている。

 しかしそう見えていたのは俺だけらしく。


「……」

「……」


 何を感じ取ったのか、先程までの威勢がどこかに行ってしまった。


「……久々に見たぞその座り方」

「嫌な思い出がすぐ蘇ったよ……」


 げんなりとした顔になっている。どうやら、この座り方は2人にとって恐怖そのものらしい。

 察するに、例の()()()時期の愛花が良くしていたものなのだろう。


 そしてそれが、愛花にとっての全盛期らしく。


「確かにあの頃は強くなりたいの気持ちが大きすぎて、その他の事に気を回せていなかったかもしれなかったがな」

 

 何かを誤魔化すかのように、妙に早口でそんな事を言う。

 よほど触れられたくない事だったようだ。


「よく言うぜ、鍛錬とか言ってあたしらボコボコにしてたろ」

「だから昔の事だと……」

「いじめられた方はずっと覚えてるんです〜」


 わちゃわちゃと、他愛もない茶化し合い。

 そんな光景がずっと続いていく事が、幸せなのかもしれない。

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