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娘3人は……。


 目覚ましの音で俺の意識は覚醒する。

 いつもと同じ時間、俺は瞼をこすり起き上がる。


「はやく準備しないとな」


 藤城組への襲撃から数ヶ月が経っていた。

 俺も、みんなも、あいつも。

 きっと何かを取り戻した後の日々を、当たり前のように過ごしていた。


 俺の日常。

 最初に起きてくる愛花、次に叶、いつも最後のアキラ。

 彼女たちを見送って、バイトへ向かう。


 夕方には帰ってきて、夕食の支度をする。

 次第に帰ってくる皆を迎えて、一日が終わることを実感する。


 俺達の関係は変わらなかった。   

 そう、何も変わらなかったんだ。


 俺には、決められなかったことが一つあった。

 それは、誰を選ぶのかという話だ。


 愛花、アキラ、叶。

 俺は明確にこの3人から好意を伝えられていた。

 恋人になりたいという意味で、だ。


 俺自身も、まるで本当の家族のように接してくれる三人のことが大好きだ。

 きっと、恋人の関係になっても。


 だけど俺はそんな未来を選べなかった。

 俺は、誰も選ばなかった。

 

 誰かを選んでも、誰かを悲しませると思うと、どうしても決断できなかった。

 告白してくれた気持ちを踏みにじるようで、それ自体も申し訳なく思っていた。


 だけど、そんな気持ちを素直に話すと。


「ま、そんな気もしてたっすけどね」

「楓太らしいといえば楓太らしいな」

「……でもそれなら、楓太兄ぃは皆のものってことにしてもいいんだよね?」


 ……それからは、俺達はある意味では恋人以上に親密になっていた。


★★★


 今日は珍しく、アキラも早起きをして着替えを済ませていた。

 何故なら今日は学校ではなく、家族揃って──峰十郎さんはいないけど──ピクニックに行くからだ。

 

 そのために作った料理を弁当箱につめて、レジャー用品を用意していた。


 良く晴れた、満点の青空とはこのことだろう。

 準備も整い、さぁ向かおうかと言った時だった、アキラを呼ぶ声が外から聞こえてきたのは。


「アッ、アキラさーん! 助けてくださいよぉ〜!」


 それは、いつの日か俺に凄まじく絡んできてアキラにぶっ飛ばされていたチンピラ二人だった。


「もうやべっーすよ! ありとあらゆるって言っても過言じゃないレベルのヤツ等がアキラさん、ってか皆さんを探してんすよ!」


 つまりは決闘を申し込んできている奴らがいるわけだ。

 こんな日に限ってなんなんだ……と思ったが。

 

「いいじゃないすか、ちょっとしたスポーツみたいなもんすよ」

「すぐに終らせてくる。先に行っていてもいいぞ」

「でも一緒に行きたいから、待っててくれたら嬉しいな!」


 3人揃って受けて立つ意思を見せた。

 あぁ、そうだったな。この子達は。


 ──娘3人は、最強番長でした。

130話も続いたこのお話も終わりです。

読んでくれた方に感謝と、素直にラブコメだけにすればよかったかもしれないという気持ちが、少し残ります。


でもこれはこれでやりたかったことなので良しとさせてください!


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