もう負けはない。
「いやっ、まじ数多すぎな!」
「さすがにちょっと疲れてきた〜……」
「楓太たちの後を追いたいものなんだがな……!」
いくら倒しても次が現れる。
別にだからといってやられるわけはないのだが、きりがないという点では違いはなかった。
これだけの騒ぎになっているのだから、警察がやってきて事態の沈静化にかかりそうなものだが、依然その勢いは止まらない。
「サイレンとかは聞こえてんだけどな!」
「足止めに何人か割いてるんだろう、奴らからすれば被害者だというのにな」
何にせよ、時間の問題と言ったところだった。
そんな中、3人にこれ以上無いほどの追い風が加わる。
「待たせたなぁ、娘たちよ」
正義のヒーローよろしく、屋根から見下ろす最強の父。
峰十郎が、この場にいる。
それだけでアキラたちはこの戦いの勝利が揺るがないものになったと確信した。
「あとは任せておけ、事情は既に真奈美から聞いた」
「よっしゃ、そういうことなら頼んだぜ!」
倒すことから先へ進むことへ目的を変え、全員で楓太たちの後を追う。
★★★
「くそっ、御剣っぐぁ!?」
「だぁっしゃ!」
御剣と共に奥へ奥へと。
ほとんどが外に出払っていたのか、屋敷内にはそれほど人は居なかった。
「ここでいいのか?」
「たぶんな」
その扉の先。
予想通り、そこに楓斗はいた。
俺と御剣を見て楓斗は不敵な笑みを浮かべる。
「余計なのが一人いるが、まぁいいだろ……」
「……なんだあいつ、ずいぶんおまえと似てるが」
「弟だからな……」
驚く御剣をよそに、俺は楓斗に語りかける。
気になることは山程あるが、一つだけ、どうしてももう一度だけ聞きたいことがあった。
「本当にお前が父さんを殺したのか?」
「なんだと!?」
「御剣ぃ、お前はギャラリーだ、黙って見てろよ……いまは俺が、藤城組の組長なんだからな」
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