開演。
まさしくそれは、開演と呼ぶにはふさわしかった。
「なんだこのガキども!?」
一騎当千、暴力団が相手などまるで関係がない。
突然の襲撃に混乱する組員。それも当然だ、その襲撃者が、女、それも子供だというのだから。
その中に、御剣の姿を捉えた誰かが叫ぶ。
「御剣テメェ! なにしてやがんだ!」
「わりぃが口を聞いてやる暇はねぇ! 潰されたくなかったら、全身全霊を持ってぶつかってくるんだな!」
御剣は他の誰よりも前へ前へと突き進む。
御剣の強さを知っているからか、組員たちは弱腰だ。御剣自身は先程の宣戦布告通り、お構いなしに一人二人と拳で潰していく。
そして騒ぎが大きくなれば、当然残りの組員が続々と現れる。
「なんなんだよこいつら」
「知らねぇけど、謝って許されることじゃねぇって教えこんでやらねぇとな、調子に乗った女子高生共によ」
三姉妹は囲まれる。
その場にいるだけでもかなりの人数だと確認できた。普通ならば、ただの女子高生は泣いて謝ることだろう、だが一体どこに、普通の女子高生がいるのだろうか?
「勝負しようか、アキラ、叶」
「勝負?」
「こんな時に何言ってんだよ」
愛花の提案に首を傾げる2人。
「誰が一番多く敵を倒せるか、だ」
「いいじゃねぇの、わかりやすくて」
「よーし、頑張っちゃうもんね」
どこか遊び感覚の女子高生たちに、組員たちも面白くない。舐められている──そう気付いたとき、一斉に襲いかかる。
しかし、そこは舐められるだけの理由があった。
わずか数秒の間で、バッタバッタと返り討ち。
「よっしゃあっ! どんどんかかってこいやぁ!」
「クソガキが!」
次々にわらわらと向かってくる組員をなぎ倒しながら、頭の中で今回の最終目標を思い出していた。
それは現時点での組長代理を捕らえること。
御剣の最終目標もそれで、言葉通り、藤城組を潰すことだ。
今日の葬式にも来ているはず……そう信じて、ここにいる連中を全て相手にしていく。
最後に誰も立っていなければ、それはこちらの勝利を意味した。
「お、おいなんかやべぇぞあいつら……」
「数じゃ圧倒してるはずなのに……!」
これでは壊滅も時間の問題……そう考え出す者も現れ出していた。
「おい、他所からも人手をかき集めろ! とにかく数で圧殺だ!」
その叫びに、四人の脳内には2000人が浮かび上がる。
それだけの数が集結して、本当に勝てるのか?
それに対する気持ちは、皆同じだった。
上等だ、と。
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