集結。
「まず、礼を言わせてくれ。力を貸してくれてありがとう」
「別にあんたのためじゃねーしな。アタシらはあくまで楓太さんのために動くんだ」
俺達は御剣の元に集まり、これからの事を話した。
まず、藤城組を潰すとはどうするつもりなのか。
「今日は先代組長の葬式なんだ。その日ばかりは組員たちもチャカやらなんやらは身につけてないはずだ」
「つまり頼りになるのは腕っぷしか」
「でもお葬式の最中なんて……」
「暴力団間でも葬式等での襲撃はタブーだ、奴らも全力で俺たちを潰しに来るだろう」
今までとは違い、冗談では済まされない修羅場。
命を奪われる可能性も大いにあり得るだろう。
だが、それでもと俺達は今日ここに来た。
「ところで……藤城組って何人くらいいるんだ?」
「2000人と言われている。さすがに全員ではないが、今日の葬式にもかなりの人数が来ているはずだ」
2000人……最悪の場合はそれら全てから追われることになるのか。恐ろしい話だが、こちらの戦意は変わらない。
「おもしれぇーじゃん。別に全員来たって構わないけどな」
「何人来ようと問題ない」
「ぶちのめすんだから!」
本当に、心強い限りだ。
絶望的な状況であろうと、負ける気なんてさらさら感じられない。
「……で、だ。どう仕掛ける、いやどうしたい?」
「決まってんだろ〜、そんなのよぉ」
アキラの言葉に、内容を聞かずとも頷く愛花と叶。
その次には、三人が口を揃えてこう言った。
「「「真正面から!」」」
虚を突かれた様子の御剣だったが、すぐに吹き出して大声で笑いだした。
「そうだな……それが一番襲撃らしいな」
そうと決まればと、俺達はいざ藤城組へと向かおうとするが。
「いや、楓太。お前はここで待ってろ」
「え!?」
驚きはしたが、「当然だろ」と即答された。
けれど俺だって反論をする。皆が危険な戦いに向かうのに、俺だけなにもしないなんて。
「この三姉妹も思っているだろうが、代わりに俺が言うが、はっきり言って足手まといになる。心配するな、お前は俺達が帰ってくるのを待ってりゃいいんだ」
「でも、俺は……」
「楓太、私達を信じてくれ」
続く言葉は、愛花によって遮られる。
信じていないわけではない、だけどやっぱり、心苦しいものがあるんだ。
「これはお前のためでも、俺達のためでもある。だからここは素直に従ってくれ」
「……わかったよ」
俺は渋々だけれど、首を縦に振る。
「じゃ、楓太さん。少し待っててくださいよ」
「すぐに片付けてくる」
「帰ったらご飯用意してたよ楓太兄ぃ!」
見送る三人の背中は、大きく見えた。
けれど、学校へ行くときとは違って……俺の心はざわめいていた。
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