許せるわけないじゃない。
「……なるほど、ね。猛の事、急に聞いてきたからどうしたのかと思ったけど、そういうことだったのね」
真奈美さんは、俺の話を最後まで聞いてくれた。
この話を疑わない、というのならそれはやはり御剣の話が本当だったのだろう。
辻褄合わせというわけではないが、確信を得られた。
だがそれだけを確認しに来たわけではない。
「母さん、アタシたちはその人の……猛さんと、文香さんの仇をとりたい」
「……そういうことなんだろうけど、いかせるわけないでしょう」
「でもこのままじゃ楓太兄ぃが……!」
「それもわかってる! ……だけど親としてそんな無茶無謀な事をさせる訳がないでしょ」
真奈美さんの言うことは最もだ、きっとどんな人でも素直に行かせるわけがない。当たり前だ、それが普通で真奈美さんは何も間違った事を言っていない。
「じゃあ楓太を見捨てろというのか」
「……それは」
「悪いけど、母さんがなんと言おうとアタシたちは行くよ。アタシたちにとっては敵討ちもだけど、それ以上に楓太さんを守ることが大切なんだ」
それだけ伝えると、3人はそれぞれの部屋に戻った。
俺は真奈美さんと2人。
「……真奈美さん、俺は」
「いいの、あの子達は言って止まるような子達じゃないもの」
「……じゃあ」
「──私も行くわ。血の気が多いやつらを引き連れてね」
にっと笑いながら真奈美さんは引き出しから一つの鍵を取り出した。
「やるなら徹底的によ。少しでも日和ったら負けるってね」
それはバイクの鍵のようだ。
当時レデースのトップだった真奈美さんの乗っていたものだろうか。今でも大切に保管していたのなら、いつでも乗れる状態にしていたのか?
「……それと、こっちにも最終兵器を用意しておかないとね」
「最終兵器?」
「すぐにわかるよ。……とりあえず、楓太くんはその御剣って人に協力するよう伝えておきなさい。……ちんたらしている時間はないようだしね」
「……はい」
ここまで来たらやるしかない。
いや、やらないといけない。
自分のためにも。
親父たちの人生を狂わせた元凶を叩くために。
「今日は休みましょう、いつかの決戦に備えて」
「……はい!」
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