宮下猛 Part3
すごーく今更ですが、123大賞の一次を通過していました!
二次は通りませんでしたが、大きな一歩だと感じました。かなりのモチベーションアップです!
それからも猛はあの喫茶店に通い続けた。
あの日話しかけられてから、彼女に対して少し興味が湧いたからだった。
それは彼女も同様で、今日は猛がやって来ないのかと気にするようになっていた。
互いに、知らず知らずのうちに惹かれ合っていた。
そしていつしか二人は、喫茶店の外でも会うようになっていった。
猛から連絡先を教えていた。最初は彼女も驚いていたが、拒絶はせず、それを受け取った。
食事に行ったり、猛の運転でドライブへ行ったり。
初めは、大人になってから出来る友人としての付き合いだった。変に意識もしない、気軽に声をかけ、気楽に出かける関係。
だったのだが。
酒の勢いがあったことも事実だが、夜を共に過ごしてしまった。朝目が覚めたとき、ホテルのベッドで眠っていたからなおさら言い訳は効かなかった。
「いや、すまん……」
「いえ、私の方こそ……」
流石に彼女も生娘でもなかったか、案外落ち着いているなと猛は感じていた。
それと、脱げばすごいタイプか、と。
「あの、今回のことはお互い……」
「ま、こういう事もある……」
これが高校生ならば複雑な関係になりかねないが、猛達はそれらを流す事ができる大人だ。
次に会うときも、また自然体でいられるだろう、猛はそう思っていた。
★★★
「猛よぉ、最近おめぇほっつき歩き過ぎじゃねえか?」
「そうですかね……やる事はやってるでしょ」
「確かにおめぇの腕っぷしのおかげで、他勢力の勢い落ちてるが」
「シノギが下手な俺は、喧嘩で制圧、それが仕事だって教わったもんですから」
界隈では猛は突如現れた超新星、悪魔、怪物とそれは好き勝手に呼びれていた。
どれもこれも、あまりにも強すぎる猛に対してつけられた異名だ。猛自身もそれを良しとしていた。
「まぁ、お前さえいりゃこの組も安泰だがよ」
「任せてくださいよ親父……あ、すんません」
携帯が震えている。
着信名はあの女だった。
「女か?」
「いや、そういうわけじゃないですけど……」
一先ず、無視することも出来ず猛は応答する。
「どうした?」
『あ、猛さん……今、大丈夫ですか?』
「あぁ別に……」
親父に目をやれば「構わん」とアイコンタクト。それを見て猛は会話を続ける。
なんとなく、どこか軽いノリで。
だか彼女の口から聞かされた事実は、怪物をも固まらせた。
『あの、赤ちゃんが……』
今回もここまでお読みいただきありがとうございます!




