終わりの始まり。
100話を迎える事が出来ました。
ここまで更新し続けられたのも、読んでくださる方達のおかげです。本当にありがとうございます。
今回から、終わりへと向かっていきます。最後までよろしくおねがいします。
「アキラ〜、はやく起きろ〜」
「ぁぁい……」
いつものように朝が弱いアキラを起こす。
その頃には、もう朝飯を食べ終えた愛花が先に学校へ向かっていた。
「アキ姉ぇ〜、はやくー」
「ほら、叶も待ってるぞ」
叶がアキラと一緒に学校へ行くために下で待っている。
ようやく起き上がり、着替えて朝飯を食べて、眠い目をこすりながら叶と学校へ向かった。
三人姉妹を送り出した後、洗濯物や洗い物を片付ける。
ある程度が終わり、バイトの時間がやってくる。
いろいろと怪我が重なって、シフトに入れないことが多かったけれど、なんとか今は普通に働けている。
健康体に感謝だな。
この生活は、今となっては当たり前になっていた。
これが俺の日常。
いつしか、いつまでここにいられるのだろう、とは考えなくなってしまっていた。
その感覚に陥るのは、いつか来る自立の事を考えれば良くはないかもしれないが、いまだけはそう思わせてほしい。
バイトが終われば家にまっすぐ帰り、干してある洗濯物を取り入れる。
テレビでニュース番組を流しながら、今日の夕食の準備をする。
今日は時間がはやいから、少し手間のかかるものを創っても問題はない。
最近作って全員からの評判が良かったミルフィーユカツを作る事にした。
「ただいま〜……楓太兄ぃ、今日はなに〜?」
「ミルフィーユカツだよ」
「ほんと!? アキ姉ぇ〜、今日はミルフィーユカツ〜!」
「お、いいね」
次第に帰ってくる姉妹達。
今晩の食事にウキウキしながら風呂へ入っていた。
「そういえば、近所の猫が大量にいる家あるじゃないですか。あそこ、まーた増えてましたよ」
「まじ? 夜中とか鳴き声がすごいんだよなぁ……」
他愛もない雑談。
本当に中身もなく、オチもない。
けれど家族でする雑談なんて、そんなものだ。
★★★
「いただきまーす」
愛花も真奈美さんも帰ってきて、全員で夕食に。
「A!」
「いやBだろこれ」
「どう考えてもCだろう」
「えー、お母さんもCだと思う」
クイズ番組を観ながら、それぞれが正解だと思うものを挙げていく。俺もAだと思う。
CMを挟んだあと、結局は答えはAだったから、叶と一緒に喜んだ。
「アイスあるぞー」
「あ、たべたーい」
一箱で複数個はいってあるタイプのアイス。
デザートとして買っておいたものだ。
それぞれがそれを食べながら、クイズ番組の続きを観る。
のんびりとした、一日の終わり。
しばらくすれば、歯磨きをして寝支度を済ませる。
今日も一日、充実していた。
楽しかった。
変わらない日々は、つまらないわけはない。
それをどう感じていくかが、大切なんだ。
こんな日々が、本当に……続けばいいと願っていた。
後日、親父の死体が山奥に遺棄されていた事を知るまでは。
そう、願っていた。
今回もここまでお読みいただきありがとうございます!




