第4話 ビッチ共を成敗。
「これ、片付けといて」
俺はライオネルのミイラを粉々に踏み潰すと、周囲に居た野次馬のおっさんに指示を出した。
「ガッテン承知! チリトリとホウキ持ってくるぜ!」
おっさんは親指を立てると、ダッシュで駆けていく。
「さぁて、次はお前らだな」
俺は放心状態でしゃがみ込んでいるシルファとウインディの側に立ち、彼女達を見下ろした。
「レモ......レスカ様、私達もミイラにするんですか? あの、どうか、お許しください! 何でもします!」
「ご奉仕します! 財産も全部差し出します! ですからどうか、命だけは!」
ライオネルの末路を目の当たりにし、必死に命乞いするビッチ共。滑稽だ。正直俺は、もうこの二人に対して愛情を感じない。餌としか思っていないのだ。
「確かにな。浮気したくらいで殺すのは、ちょっと残酷すぎる。昨晩目撃しちまった事は、忘れようと思っていた。お前らの不徳を許し、俺の元に戻ってきてくれるよう努力しようと思っていたんだ。だがお前らは、今日俺を激しく侮辱した。死ねとまで言った。最も大切な事が【信頼】とするなら、最も忌むべき事は【侮辱】する事。それには殺人も許されると、誰かが言っていた。だから俺はお前らを殺す」
二人は涙を流し、俺の足にすがりつく。
「嫌です! あんな醜い姿になって死ぬなんて! せめて、せめて美しいこの姿のままで......!」
「私もです、レスカ様! 殺されてもいい! でも、ミイラには成りたくありません!」
わがままなビッチ共だ。もういい、話もしたくない。
「ベッドでゆっくり可愛がってやろうと思ったが、やめだ。死ね! 雌犬クソビッチ共!」
俺は二人の首をガッと掴んだ。
「いくぜ! エナジードレイン!」
「んぴぃぃぃぃーっ」
「お゛ほぉぉぉーっ」
汚い喘ぎ声を上げ、二人は絶頂した。今頃夢の中で、たっぷり俺と愛しあっている筈だ。
やがて二人の体は萎んでいき、シワシワのミイラとなる。俺はすっかり軽くなった幼馴染達をポイッと放り投げ、見物に出て来ていた宿屋の親父を手招きした。
「はい! なんでしょうかレスカ様!」
ダッシュでやって来た親父に、俺はミイラ化した幼馴染をアゴでクイッと指す。
「これ、お前の宿屋で預かっといて。もちろんタダで。いいよな?」
「はい! もちろんでございます!」
親父はそそくさと幼馴染達を担ぎ上げ、ペコリとお辞儀して宿屋に戻って行った。
あいつらに対しての愛情は捨てたつもりだった。だが、やはり非情に成りきれない自分がいた。ミイラにしといてなんだけども。そのうち復活させる事も、あるかも知れない。
さぁて、食事も済んだし。 次は住む場所の確保だな。
冒険者になってからは宿屋を転々としたその日暮らしだ。村の実家に帰れば居場所はあるが、せっかくだから使用人付きの豪華な家にも住んでみたい。
「よーし、これから俺は、この街を支配する! そこのお前! この街で一番偉い奴の所へ案内しろ!」
野次馬の一人に指を差す。ハゲたおっさんだった。ハゲおっさんは嬉しそうに前に出てきて「ヘイ! わかりやした!」と揉み手した。