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第2話 吸精王。

 頭と腰に、コウモリのような漆黒の翼。流れるような美しい金色の髪。長い手足、小さな顔と高い身長。そして、顔よりも大きな二つの乳房。全てが本来の俺とは真逆。それが今の俺の姿だ。


 服装も簡素なシャツとズボンから、セクシーなドレスへと変わっていた。クラスチェンジは服装も、クラスに適した姿に変わるのだ。


 俺は鏡の自分に見惚れつつ、現在の状況を分析する。

 一体何故、こんな姿になったのだろう。


(クラスチェンジ完了。クラス名は、【吸精王】です)


 頭の中に声が響く。レベルアップした時とか、スキルを覚えた時に聞こえる声。噂によれば、光の女神ルクスの声らしい。


 俺はクラスチェンジしたのか。しかも吸精王と言えば、伝説のクラス。誰もまだクラスチェンジした事が無い、ほとんどお伽話のようなクラスだ。


 だが、俺がそのクラスになったのなら。くくく。これからはやりたい放題だぜ!


「おら、ライオネル! 鏡返すぜ!」


 俺はライオネルに鏡を投げつけた。その拍子に、胸の膨らみが「だぷんっ」と揺れる。


「おおっ!」


 周囲から男達の歓声が上がる。ライオネルも俺の胸に視線が釘付けで、鏡をキャッチし損ねて顔面にブチ当たった。


 ったく、みんな何でそんなに俺の胸を......ってデカッ! 乳がデカすぎて足元が全く見えない。そういえば俺の胸は超爆乳だった。


 ふーん。なるほど。この爆乳に、みんな注目してる訳ね。


 んじゃ、これでどうだ!


 俺は両手を組んで前屈みになり、腕で胸を「むぎゅっ」と挟み込んだ。


「ぐはぁっ!」


 男達が前屈みになり、そのまま倒れ込んで行く。それはライオネルも同様だった。


「はははっ! こりゃ面白れぇ! 男ってホント馬鹿だよなぁ!」


 俺がゲラゲラと笑っていると、シルファとウィンディがツカツカとやってくる。


「ちょ、ちょっとレモン! 何やってんのよ! お、男の癖にライオネルを誘惑しないで!」


「そ、そうよ! 確かに今は、すごくセクシーだけど」


 二人は俺を怒鳴りつつも、何だかモジモジしている。そう言えば【吸精王】の常在能力(パッシブスキル)は【魅了】。無意識のうちに、こいつらの事も虜にしちまってたみたいだ。


「俺はクラスチェンジして【吸精王】になった。お前らも名前くらいは聞いた事あるだろ? このクラスになると、強制的に女になっちまうんだ。だがら今の俺は女だ。名前もレスカに変える」


 切なそうに息を荒くしている二人の頬に指を這わせ、見つめる。


「ふふっ、あんまり怒るなよ。可愛い顔が台無しだぜ」


 俺は二人を抱き寄せると、それぞれの耳に「ふーっ」と息を吹きかけた。


「ああーっ」


「おねぇさまぁっ」


 二人はその場に崩れ落ち 、よだれを垂らして放心状態になった。


「ふふっ。お前らは後で可愛がってやる。先にあいつの精力を搾り取ってからな」


 俺は前屈みでうずくまっているライオネルの元へツカツカと歩き、首根っこを掴んでグイッと持ち上げた。


「表へ出ろ。枯れるまで搾ってやる」


「は、はい!」


 俺は殺そうと思っているのだが......ライオネルは、何だか嬉しそうだった。

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