第10話 地下牢にて。
「なぁヒカル。やっぱこの手錠外していいか?」
すっかり日も登った正午。王都サージナルに向かう馬車の中で、俺はげんなりしながらそうボヤいた。
「ダメですよ! 捕らえた相手を拘束しないで連れて行ったら怪しまれます。我慢して下さい」
ちょっぴり頬を膨らませ、俺を注意するヒカル。可愛い。
「でもさぁ。この手錠してると、スキル一個も使えないんだぜ? もし敵に襲撃されたら、俺死んじまうかも知れないぜ?」
「大丈夫です。レスカさんの事は、僕が守りますから」
ヒカルは真剣な表情でそう言った。
「こ、こんにゃろう! バカ! あんまり俺をドキドキさせんな、バカ!」
俺は顔が熱くなるのを感じた。
「あはは。可愛いですね」
「か、可愛いって言うな!」
イチャイチャしながら王都に到着。
「勇者様、ご到着!」
王都の正門では、大勢の兵士が馬車を出迎える。馬車に乗ったまま城下町を進んでいき、やがて巨大な王城へと辿り着く。
「おかえりなさいませ! 勇者ヒカル様!」
王城の門の前で、兵士とメイド、執事達が深々と頭をさげる。
ヒカルは荷物を執事に渡し、兵士に俺を引き渡した。
(少しの間、我慢して下さいね。暴れちゃダメですよ)
(ああ、わかってる。俺が言い出した事だしな)
俺とヒカルは念話で話し、目配せし合う。
「来い、吸精王!」
兵士三人に槍を向けられ、俺は地下牢に歩かされた。スキルが使えれば、【魅了】でどうにでも状況を変えられるのだが......俺が嵌められている手錠は「謙虚の手錠」と呼ばれる魔法道具。嵌めている間は一切のスキルが使えない。
地下牢は薄暗く、ひんやりとしていた。牢はいくつかあるようだが、捕らえられている者はいなようだ。
「ここだ! 入れ!」
一番奥の独房に、俺は入れられる事になった。入り口は鉄格子ではなく、鉄の扉。扉には開閉可能な引き戸が付いた、小さな窓がある。中の様子を見る時に使うのだろう。
俺は独房に蹴り倒された。
「ああっ!」
俺はわざと、弱々しく振る舞った。倒れた拍子に、重たげに揺れる乳房。ドレスから覗くむっちりとした太もも。スラリと伸びた長い脚。俺は悲しげな表情で、彼らを見つめる。
予想通り、兵士達はゴクリと喉を鳴らす。
「なんていい女なんだ......」
「なぁ、ここには誰も来ない。こいつさえ何も喋らなければ......」
「ああ、そうだな。やっちまおう」
男達は、俺を犯した。【魅了】が使えないってのに、それでも男を狂わせちまうんだなぁ俺は。
「あ、あの、もし......よろしければ、この手錠を外して頂けないでしょうか? そうすれば、たくさんご奉仕が出来ます」
俺は男たちに提案してみた。彼らは俺の体をむさぼる事に夢中になり、すっかり警戒心を解いていた。
「おお、そうだな。よしよし、外してやろう」
年長者らしき男が鍵の束を取り出し、俺の手錠を解錠する。
「ありがとうございます。これで......テメェらをブチ殺せるな! エナジードレイン! エナジードレイン! エナジードレイン!」
「ふおおおおーっ!」
「おへぇー!」
「んほぉー!」
全員絶頂。ミイラにはせず、気絶させるだけに止める。確かに俺を犯した罪はあるが......殺す程の罪じゃない。
ブチ殺す、はちょっと言い過ぎだったな。
「さぁて。スキルも使えるようになった事だし......しばらくここで様子を見るか。手駒も出来たしな」
兵士たちが起きたら、色々やってもらおう。俺は乱れた衣服を直しながら、今後の計画を練った。
だいぶギリギリ? まだオッケーだよねw




