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1章 裏切りの勇者 3話 生存者

勇者は周囲の状況や、自分の身体を入念にチェックすると、なにかを思い出したかのように、魔王の玉座の間の窓から身を乗り出し、外を見渡した。

この魔王城は7階層で成り立っていて、魔王の玉座の間は、その最上階にあたる、7階層目にある。そのため、魔王の玉座の間からは城とその周辺を見渡せるため、勇者軍の陣地の偵察や、魔族の生存者の発見などが出来るため、城の守りを戦争に向いている作りと言える。

ーーただ魔王自身は魔法を使うことで、周囲を簡単に見渡せるため、魔王にとって、この窓はただ見晴らしの良い景色を観るための物としか考えていなかった。今は勇者も、魔王の魔法がーー本来の力よりは弱いとはいえーー使えるため、窓から覗く必要はないのだが、それに気づくのはだいぶ後の話になる。

勇者が窓から勇者軍の陣地だった場所を見てみると、もう既に勇者軍の姿はなく、周囲にも、人影は見当たらなかった。つまり勇者は勇者軍が撤退するまで、それこそ数日間起きなかったということになる。つまり、勇者は相当の間、なにも食べていないということでーー


「……っ……腹減った…………」


ーーその空腹に気づいた勇者は急に空腹感を覚え、腹を抱えて魔王城にあるはずの食料を探すために、歩き出した。

そして、魔王の玉座の間を出るために、扉を開けるまでは良かったのだが、


「あれ?…どっちだっけ……」


勇者は来た道を覚えていなかった。

今まで道は聖女が覚えており、勇者自身はそれに着いて行けば良かったため、道を覚える必要がなかったのだ。だが、そこに留まり続けるわけにはいかないので、空腹でふらふらしながらも、食べ物を探して来たであろう道を歩き出したーー空腹が限界に達した勇者は割と適当に道を選んだわけだが、運良く歩き出してすぐに食堂を見つける事が出来たのは、勇者にとって幸運だったと言えるのかもしれない。


「あ…あった……食堂ッ……‼︎」


ふらふらだった勇者は、4階まで降り周囲を見渡し、食堂であろう部屋を見つけると、今までの様子は嘘だったかのように、様々なもので閉鎖されているのも物ともせず、食堂の扉を、開けるーーもしくは叩き割った。

勇者が扉を開けて入るとそこには食堂の中にはメイドや給仕の格好をした魔族の女性や、子供の魔族が肩を寄せ合い固まっていた。

ーーその中に、1人だけではあるが、剣を向け、迎撃出来る体勢で齢18歳ほどの若い女の魔族がいた。これが、のちの魔王であるファリナと、勇者による初めての出会いである。


「「…………………………⁉︎」


お互い、まだ魔王城に人間がいたと言う事実と、まだ魔王城に魔族がいたと言う事実が同時に判明し、その驚きから、身体は動かせても、言葉を発することが出来ずにいた。

すると勇者は、自らの手を腰に着いている剣の方へ持っていく……

ことはせずに、自分の目の前で手を合わせると、


「え、えっと〜…………た、食べ物……貰っていいですか……?」


ーー勇者の最初のセリフは、なんとも残念な感じの聞き方になってしまった。

ただ、緊張と恐怖で、今にも気絶してしまいそうになっていた魔族の緊張感が少しだけ緩んだのは幸いだったと言えるだろう。

数秒経ったのち、1人の魔族が前に進み出た。彼女がこの中の代表なのだろう、未だに緊張しまくっている、剣を持った魔族の女性が前に進み出た。

それに次いで、メイドの服を着た年配の魔族の女性が前に出てきた。


「……な、何の用だ人間……!!」


「……何の用だって……食べ物欲しいってつい数秒前に言っていたではありませんか……それに、貴女は剣など使った事ないではありませんか!」


「え、そうだっけ?…………じゃなくて、今それをバラすんじゃない‼︎」


「ですが……」


「ええい、黙れ!せっかくの私の尊厳が台無しではないか‼︎」


剣を持っている魔族の女性と、その側に居たメイドの服を着た年配の魔族がいい争った事で、食堂の中はなんとも言えない和やかな雰囲気に包まれた。

そんな中勇者は、


「いや…マジで食べ物ください……ホント死ぬから…」


そんな事を呟きながら意識を失った。


最近あまり時間がないので、時間がある時に書きたいと思います。コメントよろしくお願いします。

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