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アグストヤラナの生徒たち  作者: Takaue_K
三年目前期
98/150

第29話-4 ボクのきもち



 故郷にいたとき、ボクは御伽噺に憧れて外の世界を見てみたいとずっと思ってきた。



 小翅族は外界での危険を疎み、結果他種族との接触自体を断つことを選んだ。その結果として同時に、緩やかに滅びを迎えていくことも受け入れた。



 それがボクはどうしても納得いかなかった。



 この世界には、いろんなボクの知らないこと、目新しいこと、面白そうなことが沢山あるはず。それを一切知らずにお婆ちゃんになっていくなんて勿体無いこと、できない!



 だからボクは世界を見たくて、知りたくて、ユーリィンに無理を言って付いていく形で故郷を飛び出した。



 だけど…そんなボクにも、どうしても理解できなかったことがあった。



 御伽噺の中では、好きあう二人がアイして結ばれる。



 あるいは、アイする者を救うために自らの命を賭すものもあった。



 それが、どうしても判らない。



 好き、ってことならユーリィンのことだって好きだ。でも、ユーリィンと結婚する、となるとどうも違う気がしていた。



 それに、幾ら好きって言っても自分の命を賭けられるかというと迷ってしまう。



 だから、アイというのはボクにはきっと関係の無い世界のことだ、そうずっと思ってきた。



 でも、気づいたんだ。



 ボクは、アベルのことを失いたくない…って。



 今なら、御伽噺の主人公たちがどうして自分の身を呈して、好きな人を守ろうとしたか判る気がする。



(たぶん、これが”愛”ってことなのかな?)



 まだ自分でも、よく判らない。今はただ、アベルのぬくもりに抱かれているこの時間に深い安らぎを感じる。



 何でだろう…考えても答えが出ない。だけど、今はただそれに浸っていたい…



 やがてまどろみに落ちていく。



 外を吹き荒ぶ風の音はいつの間にか止んでいた。


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