表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アグストヤラナの生徒たち  作者: Takaue_K
三年目前期
102/150

第29話-8 気遣いができる女(自称)



 話は再び入浴中の二人に戻る。



「…ということがあったのよ。だからあんたもうかうかしてらんないわよ」


「ふ~ん、なるほどねぇ…ん?」


 黙って聞いていたリュリュはふと気づいた。



「あれ、でも今の話にユーリィンぜんぜん絡んでないよね? 何でそこまで詳しく知ってるのさ?」


 その問いに、ユーリィンはにたりと笑った。



「いやぁ、たまさか保健室の外を歩いていたら聞こえてしまいましてね? ほら、あたくし耳がいいもんでございましょ?」


「……うわぁ…」


 自慢げに答えるユーリィンに、さすがのリュリュもどん引きした。



「…あ、でも今の話は内緒にしてるんだよね? ボクら以外には誰にも話してないよね?」


「もちろん」


 ユーリィンは胸を張った。



「こんな面白い話、黙ってるわけないじゃない! 微にいり細にいり、クゥレルやウォードたちにも教えてあげたわ! あ、もちろんはじめての恋心についてだけはさすがに伏せたけど。気遣いができる女って、素敵だと思わない?」


「うわぁ…こいつ、人として最低だ」


 リュリュはつい先刻、彼女を最高の親友だと思った自分の不明を恥じた。



「なぁに言ってんの、こういうことはばらさないと駄目なのよ」


「何でさ! ムクロすごい悩んでたんじゃん?!」


 あっけらかんと、ユーリィンはリュリュの主張を否定する。



「だからよ。当人にとっては悩んでることだからこそ、周りのあたしらが気にしてどうすんの。気にしないで以前どおり受け入れる、それが大切なのよ」


 そう答えるとユーリィンは湯船から立ち上がった。


 話の終わりに併せて出るつもりなのだろう。



「はぁ……そういうもん…なのかなぁ……」


 まだ釈然としない面持ちのリュリュに、ユーリィンがきっぱり答える。



「そういうもんなの。お姉さんのことを信じなさいってね」


「でも、実のところ面白半分でしょ?」


「違うわよ!」


 ユーリィンが即答する。



「全部興味本位!」



 満面の笑みのユーリィンに、これまた同じく満面の笑みを浮かべリュリュも返した。



「うん、知ってた」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ