表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に歩む者  作者: ツヨシ
12/12

12

ふと目覚めた。


日が昇り始めている。


身体は動く。


上半身を起こして木戸のいたと思える場所を見た。


木戸はそこにいた。


少し離れていて、あたりはまだ薄暗いにもかかわらず、一瞥しただけでわかった。


木戸が死んでいることが。


滝本が力なく立ち上がろうとした時、いきなり目の前にヒロシが現れた。


――!!


滝本は中腰のまま動けなかった。


血まみれで、信じられないほどに真っ白い顔のヒロシが滝本の顔を覗き込んだ。


ヒロシの顔は滝本の顔のすぐ目の前にあった。


恋愛中の男女の距離だ。


その時滝本は気づいた。


――息をしていない!


滝本はヒロシの手首をつかんだ。


なぜだかわからないが、ヒロシの顔を見ているとついさっきまで体内に収まりきらないほどもあった恐怖心というものが、すうっと消え去っていた。


脈はなかった。


息もしていないし脈もない。


死んでいるのだ。


ヒロシはすでに。


ヒロシが滝本から離れた。


やがてゆっくりと歩き出し、観覧車の中に入り席に腰を下ろした。


そして滝本を見て笑うと、その顔のまま静かに目を閉じた。



           終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ