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滝本は木戸の元に駆け寄ろうとした。しかしヒロシが割って入ってきた。
「邪魔すんな!」
滝本はヒロシを殴りつけようとした。
しかし拳がヒロシにとどく前に、なにかの衝撃を全身に受けた。
――?!
滝本はそのまま地に伏した。
慌てて起き上がろうとしたが、どういうわけだか身体が全く動かなかった。
――なんで?
人形のように地面にのびている滝本を一瞥すると、ヒロシは歩き出した。
どうやら木戸のところへ向かっているらしい。
「やめろ」
滝本はそう言おうとしたが、声にはならなかった。
足音は少しはなれたところで止まった。
次に聞こえてきたのは、何かで人間の身体に攻撃を加えていると思われる音。
それが止むことなく聞こえてくる。
その間、時折耳に届くのは、人の呻き声。木戸の声だ。
「やめろーーーっ」
滝本は絶叫したつもりだったが、やはり声にはならなかった。
滝本は不快な肉音を聞いているうちに、いつしか気を失った。




