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死に歩む者  作者: ツヨシ
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肝試しに来た、と言うのはあくまでも名目で、実際は暴れに来たと言ったほうが適格だろう。


完全に放置され、廃墟となった遊園地。


放置されたのは滝本達が生まれる前の話だから、その歴史はそれなりに長かった。


閉鎖されて以降は不良どものたまり場となり、そしてホームレス達の安住の地と、なんの迷いもなくお決まりのコースをたどっていった。


もちろん不良どもとホームレス達が、和気あいあいと仲むつまじく交流をするわけがなかった。


やりたい放題の廃遊園地に乱入して来た不良達は、そこいらの施設を叩き壊すついでに、ホームレス達も襲った。


何度かけが人が出て、警察沙汰もしばしばだったある日、悲劇が起こった。


一人のホームレスが殺されたのだ。


他の県からわざわざ出向いてきた無頼の徒。


秋の満月の下、観覧車で寝ていた一人の年老いたホームレスを殺したのだ。


木刀と金属バットで殴られ続けたその男は、見るも無残な姿になっていたと言う。


犯人は四人の大学生だった。


ホームレスの一人が、四人が乗ってきた車のナンバーを正確に覚えていたため、ほどなく逮捕されることとなった。


殺された仲間の無念を晴らしたとも言えよう。


そしてその事件がきっかけで、ほとんどのホームレスがねぐらを変え、それでも残ったホームレスはこれまで以上に息を潜めた。


集まる不良の輩も減っていった頃、滝本は先輩の木戸から声をかけられた。


「おい、肝試しに行こうぜ」


あの事件があった後、殺されたホームレスが夜な夜な遊園地を彷徨っていると言う。


見たと言う人が何人かいるそうだ。


もちろん本当のところはどうだかわからない。

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