ミルクル
「どう?体が楽になってない?」
「うん、何これ?何したの?」
「大丈夫だよ。君が元気になるおまじないをかけた。ほらこのお姉ちゃんの手の甲見てごらん?同じ印があるでしょ?」
そういってルゥはその子供に見せた。
「これが元気のおまじない」
「はいこれがあるから私も元気ですよ」
「すごいー」
見る見る血色が良くなっていく。ただ元々銀髪、透き通るような白い肌なので、青白い肌の色に大きな変化は無いが、それでもほんのり赤みがかった血色の良い肌になっていく。
「奇跡です。様々な医者、魔法使いなどなど診てもらいましたが誰もがもうこの子は助からないと諦めていました。もしこの子を買おうとしてたけど高くて諦めたなら、お金はいりません引き取ってもらえませんか?」
「は??この子店主大切にしてるじゃないか。そんな事出来ないよ」
「大切にはしています。でもお金が必要なのも確かです。私は奴隷を売ってると言うより子供達を大切にしてくださる人にお金を貰って引き渡しています。他の子達の引き受け先が見つかるまでお金が必要になります。だから引き受け先が見つかったらすぐにでもその子を出さないと今いる他の子を養えません」
「なんか店主すごくへんな事してるな。それじゃ孤児院に近いじゃないか」
「はい実は将来お金をためたら孤児院をやりたいと思っています。元々はずっと奴隷商人をやってきました。年を取ったからでしょうか。そういう生き方が嫌になってしまいました。だからいつか孤児院をと考えて今はこんな商売しています」
「分かった。でもそれを聞いたら変な奴隷商人さんの夢に投資したくなったよ。これ少ないけど受け取って欲しい。じゃこの子は引き取らせてもらうよ」
店主にちょっといつもより大きめの金の塊を渡した。
「そういえば名前は?」
「ミルクル」
「ミルクル、店主に別れの挨拶をしたら出発しよう」
賢い子のようだ、僕らの会話を聞いて大体の事は把握したらしい。ただちょっと駄々をこねていた。それでも店主は僕を命の恩人扱いして、彼女を説得して彼女はそれに応じて泣きながら分かれた。
帰る途中で僕はルゥとの一体化をミルクルに見せた。隠さず見せた。
「ええ何々?」
「彼女はこういう力を持ってる。同様にミルクルも魔力がすごいよね?」
「ミルには良く分からない」
「うーんとじゃミルが得意な魔法使ってみて」
人気が無いところでミルクルは炎の魔法を使った。僕とルゥはびっくりした。僕らの魔法と比較して桁違いだった。やはりこの子には魔法の才能がある。
「ちなみにサトルも使ってみたら?」
僕もイメージしてやってみる。かなり劣るけど、明らかに以前と違う威力の炎が出た。
「サトルそれが眷属の力を主人が劣化して真似できるやつです」
「そそミルこれが君の力と僕の力を交換した結果だよ。ただしミルの力を奪ったわけじゃない。劣化して複製しただけだからちゃんとミルが使ってきた魔法は残るからね」
「じゃミルが元気になったのそのせい?」
「うん、僕がミルの身体を眷属化によって強化した。多分魔法も上がってると思う。ただミルの場合身体の弱さが目立つため。そっちが重点的になった。これで交換の意味が分かったかい?」
「うんなんとなく分かった」
「後ね、ミルが奴隷市場に居たから抵抗があるんだけど、明日から僕らの荷物運び兼魔法使いをやって欲しい。その事で見て欲しいものがある。ルゥ準備できてる?」
「はいすでに買ってきています」
ルゥはミルにバッグを手渡した。
「これは魔力を注ぎ込むことで機能します。しかも高いレベルの魔法使いの方がおそらく使いこなせます」
ミルが魔法を注ぎ込むと様々なものをバッグに放り込んだ。明らかに袋の容量を超えている。
「ね?これなら重くないでしょ?幼女を奴隷としてこき使おうなんて思ってない。ただ商品としてじゃなくて、ダンジョン攻略の仲間としてミルを扱うから」
「うん引き受けるよ」
分かっていたことだけど、僕ら二人はやけに大量に入るバックに感動していた。きっとルゥは儲かるぞって思ってるんだろうな…。
子供だからサービスで宿屋にそのまま泊まった。一人部屋に別に二人で泊まっても良い。ただ泊まってる人が苦労するだけで、子供だし一緒に寝ました。と言うか僕もまだ育ちきってないので二人で寝ても十分ベットで寝れる。次の日の朝が来た。さーて探索のたびに出発だ。その前に