シティの肉
「しばらくしても進展が無ければ駄目になったとして、そのお金はそのまま受け取ってください」
ダンジョンは後回し。それに多分もう一度戻るだろうから。すぐにシティに引き返した。良く利用する肉屋にメイを連れていく。メイも良く利用してるから味方は多いほうが良い。
「やあサトルさん、息切れしてどうしたんだい?」
「ぜーぜー、はあ急いで来たんですよ。ちょっと話をしたいのですが、ソルバのソーセージって知ってますか?」
「ああ有名だね」
「あれモンスターの肉で作ってみませんか?」
しばらく沈黙。
「面白いとは思う。だが売れないんじゃないか?」
「僕もそう思います。保存食にしてはかなり美味しいだけでそのまますぐ焼いた肉に較べると食べなれてる人は難しいでしょうね。だからそういった新鮮な肉が食べられない地域に売るんですよ」
「それを私が?」
「いや別にそういう事に関心がある人を紹介してくれるだけで良いんですよ。知り合いの肉屋さんが叔父さんしかいないので。もうソルバの畜産農家にはソーセージの作り方をシティの人に教えてもらえるように話をつけてきました。お金の話なら初期費用は僕が負担するようにします」
「私はこの付近でしか肉を売ってないけど、シティのモンスター肉をシティの隅々に届けてる人なら居るよ。その人なら保存食について関心があるかもしれないね」
「お願いします紹介してください」
そこからあれよあれよと話が進んで。モンスター肉の保存食に関心を示す人と知り合うことが出来た。農家の話をしたらすぐにでもと言う話しになったので、次男を行かせるとの話しになって馬車を手配して、僕らと一緒にいくことになった。モンスター肉の話はしないと言うことで話は済んでいた。騙す形になるが、実際は騙してない。ソーセージの手法を勉強するがそれを絶対に豚で再現しなくてはいけないとは約束して無いから。アイデアを独占するためだった。僕は次男にいくらかお金を渡して、親父さんが渡してくれたお金意外に追加で渡せば良いからと話しておいた。騙しては無い。だが相手はそう思わないだろう。いつかばれるかもしれない。多少後ろめたい気持分渡しておいた。
彼は独自に帰るとの話しなので、ソーセージを作っている農家に案内だけして、僕らは最深階が更新されてないのを確認してもう一つの未確認ダンジョンに向かった。
「サトルもう任せるんですよね?」
「うん」
「これ多分広がりませんよ?」
「何故?」
「あの親子が独占するからです」
「でも真似しようとしないかな?」
「なるほど特別変わった技術じゃ無いですからね」
「うん、そこがポイントなんだよ。本当なら誰かがやっててもおかしくはない。豊富に新鮮な肉が提供されるから需要が無いからね。あの人がそれが届かないところまで需要を外に広げていけば分からないよ。問題は時間が掛かる。定着したらその後広げるために僕が促進するための何か?をやらないといけないかもしれない。取りあえずは商売として上手く行くか見るよ。これさややこしい問題があるんだけど、あの人が飛びついたのは僕に言わなかったことがある。でも僕はいろいろ聞いて知ってるんだよね。肉が駄目になるぎりぎりの所で商売してて、その手の評判がちょっと良くないんだよね」
「でも始めて知ったんでしょ?」
「肉の事について考えていて、それで噂を聞いてただけで、確かな情報でもないし知り合いじゃないよ。僕が安売りで広げるか?と思ってたけどね。肉集めてきて安くしてまずは宣伝して欲しいと考えていたんだよ。だったらあの人が担当になって、こりゃ結果論的に同じ事やるかも?と思えてね」
「ただし悪い肉で??」
「まあちょっと違う、そこまで悪質じゃないと思う。一部悪くなるのが分かってるから。その分だけソーセージにしておけば持つよね?それをまた悪くなる前に早く売りたいとすれば?」
「安売りする」
「じゃないかなーって思ってる。たださシティの外れで肉を売ってるって発想は無かったな。最初からそこに話を持ち掛ければよかったとは思う。僕自身肉は新鮮が当たり前でずっとやってきたから慣れで分からなくなってたね。危ない肉を貧乏人相手に売ってる悪い肉屋のイメージがあったからね。まあそういう部分もあるんだろうね」
未確認ダンジョンを見つけた。もうちょっと情報集めてからと思ったけど来たのは、どーせソルバに来るから無くても良いやと思っていたから。どう転ぶか?分からないけど運が向いてきたかな。




