奴隷市場
「ルゥあれさっきからずっと1つの袋に入れてるよね?僕ら2人で運んでるけど、それより多い量いれたと思うんだけど」
「取りあえずギルドに持っていってまた情報を集めますか」
僕らはギルドに帰っていろいろ換金した。そこでルゥが聞いてきた情報によるとあの小さな袋は異次元袋とも言うべきもので、見た目よりもごっそり荷物が入るらしい。ただあれを使えるのはレベルの高い魔法使いだけらしい。
「魔法って何?」
「多分私が使ってる炎とか氷のやつです」
「そうだよ。何故ルゥ使えるの?」
「初歩だと私も使えます。そして眷属の主人であるサトルも出来ると思いますよ?」
「そういえば眷族って今更だけど何?」
「一体化とかそういうのじゃないです。あれはまた別です。眷属は眷族にした相手の身体能力パワー、技術の全てでは無いですが一部共有できます。なおかつ眷属側も恩恵を受けてそうじゃない状態より大きな力を引き出せます。なんとなくイメージしてみてください」
「おお出来るね」
僕はイメージどおりに炎弾を飛ばせた。
「ただこれらも学習すればもっと簡単に出来ますよ。説明が必要なくなります。後同性は眷属になれません」
「えルゥって女の子だったの??」
「どうみてもそうでしょ」
「でも人間離れしてる」
「エルフでも獣人でもメスはいると思いますよ。人間の女の子だとは言ってませんー」
(屁理屈っぽいが、なるほどね)
「眷属と魔法と荷物。これらの話をしてて一つ浮かびました。奴隷買いましょう」
「なんて事をおっしゃる…」
「何かいろいろ情報を集めていくと、そういう人達に荷物運びさせたり、お一人が多い冒険者などは足りないパーティメンバーを埋めるなど手伝ってもらうそうです。マイナスイメージあります?」
「あるよー」
「じゃサトルが良い待遇で迎えてあげれば良いのでは?サトルの場合眷属が必要なので誰でも良い訳じゃないんですよ。強固な関係があった方が良いです」
「うーん、まあ見に行ってみるか…。しかし本当にこの町すごい活気だな。奴隷市場か」
正直言えば抵抗が無いと言えば嘘になる。ただなんと言うかルゥってこの辺りすごいドライなんだよな。彼女って僕以外何かすごくさばさばして他人を損得で合理的に見てしまう。僕のためにやってくれてるのが分かるから変な価値観持ち出して否定するのが嫌なんだよな。いやでも考えてみると彼女日本の価値観知ってるはずだぞ…。知っててこれか。ああ僕は彼女の意見に甘えてしまう。彼女から言い出したから無責任になれるんだ。僕が持ってるお金だけど、元々は彼女のおかげでとった財宝。彼女がどう使おうが僕に何か言う権利があるか?そして僕らが今誰にも頼りに出来ずにこの世界で独り立ちしようと頑張ってる。彼女僕を生かすために一生懸命なんだよな。
僕らは町の奴隷市場を見て回った。起きたスグに巨人に殺されそうになって、温厚そうな村のおじさんに殺されかけて、次は奴隷市場か…。何かこの世界なんとかなるやって適当に生きなきゃしんどくなる部分があるな。
「あの子気になりますね」
そうルゥが言った子供が法外な値がついてた。僕は確かに買えるだろう財宝は持ってる。しかしだ、そういう問題じゃなかった。
「店主その子はいくらなんでも滅茶苦茶すぎなんじゃないか?理由があるなら教えてくれないか?しかもだその子何か体悪そうじゃないか?普通こういう子は安くなるんじゃないのか?」
絶対じゃないが、いろいろ見回っていると健康そうじゃない奴隷は安くなる傾向があった。
「その子は病弱なのでそれなりに大切にしてもらえる人に買い取って欲しくて」
「おいおい、店主それで儲かるのかい?」
「儲かることは2の次です」
僕はルゥと手を繋いだ。離れていてもこうすれば彼女と会話が出来た。
(なんだこの店主、一見まともに見えるけど、ここじゃ逆に頭おかしく見える。何か裏があると思う?)
『仮に本心だとしたらそのまんまなんでしょうね』
(ルゥ、そういえばさ眷族にしたらパワーアップするんだっけ?健康にナル?)
『なるほどなると思います。離れていても恩恵は受け取れます』
「店主、その子は何故病弱なのか?原因は教えてもらえるかな?」
「この子は魔力が強いわりに体の方が弱くてそのバランスの悪さで、体の方が器として溢れる魔力に壊されると過去魔法使いの人に言われました」
「それならますます僕ならその子を直せると思う。その代わり契約によって彼女の強い魔力を僕が一部貰い受ける事になる。変わりに僕は頑強な肉体を与えよう。僕にも得があるからもちろん無料でやってあげるけどどうかい?」
「そんな事が出来るんですか?」
「ああ僕だけが持つ特殊な力で魔法ではない」
(ルゥ、ちなみに眷属ってどうやってやるの?君とは最初からそうで分からない)
『手を繋いで、汝をわが眷族とすると唱えれば良いだけです。成功すれば手に印がスグに浮かびます』
彼女の手を取って、
「汝をわが眷族とする」
と僕は唱えた。
そうすると彼女の手が光って手の甲に特殊なマークがついた。ルゥがすかさず自分の手の甲も見せた。つかー今まで気が付かなかったのか…。僕はその子に話しかけた。