ゴブリン
肉はかなり美味しいらしい。この町には家畜の肉が食事にあがることが無いらしい。それぐらいダンジョンの中の生き物の肉が流通しているらしい。近隣の村や町からも買いに来て逆に穀物は外から入ってくるようだ。後皮は革製品として多種多様なものに使われる。そういった店も並んでるようだ。そして何より重要なのは動物は何かしらの貴重品をもってるようだ。何故ダンジョンの中の動物がそんなものを持ってるか?は分からないらしい。詳しい人によるとダンジョンの中に貴重な鉱物宝石などがあり、それらを動物が好んで持ち歩く事が多いためらしい。後1階にいる猿もどきみたいな動物はゴブリンと言うらしい。
さまざまな事が分かった。ルゥの情報も似たようなものだった。大体分かったのは僕らが分かった情報は基礎の基礎ダンジョンに入るものは誰でも知ってる話らしい。何故誰もが詳しいか?と言うと、これこそがこの町を支えるダンジョンから出てくるお宝らしいから。他にも直接様々な鉱物、宝石が眠っていて採掘とモンスターハントを同時に行ったり、採掘者と警護が同じパーティで行動する事もあるようだ。他にもダンジョンで取れる草木の実などは薬草、特別な効能各種料理に使う調味料など多岐に渡る。特にポピュラーなもので鉄が豊富らしい。これは他とどう違うのか?と言うと鉄を含む鉱石の純度の高さが桁違いらしい。鉄のインゴットが埋まってると大げさに言う人も居る。貴重な金属だけじゃなくて、どこにでもある金属も純度が高くてこの町の経済を潤すには十分な量らしい。
肉、皮、モンスターが持ってる希少鉱石宝石の買取や、パーティのマッチングなど様々なダンジョンにまつわる便利な業務を一手に引き受けてくれる冒険者ギルドなるものがあり、そこに登録するとこれらの事が円滑に出来るようになるらしい。僕らは早速登録に向かった。手数料など取られずにすぐに登録できた。特殊な機能として制覇階数が記録されている。冒険者の技量を示す一つのステータスになってらしい。そしてこの町は周辺でも有名であるためこのギルドカードは何かしらの自分が何者か?示す証明書代わりにもなるらしい。
「勢いで登録しちゃったけどさ、要するにここのダンジョンでお金が儲かる。そして僕らは結構強いみたい。いずれは財宝もなくなると思うから。何かこれから目標があるわけじゃないけど、取りあえずこの世界で生きていくうえでここで当分お金ためよう」
「私も同じ事考えていました」
さあ今日は疲れた寝よう。そして戦闘の後の睡眠と言えば。僕はワクワクしてルゥと一体化して寝た。朝が来て顔を洗おうと鏡の前に立つと今更やっと気がついたが、誰だこれ?別人だったわけじゃない。記憶の中の僕より随分若い。親子ぐらい違うんじゃないか…。つかー今まで忘れてたよ。この世界の人日本人みたいな人あんまり居ない。と言うかこの町大きいからそれっぽい人いるけど、最初の村や次の町なんて皆無だった。自分がどう見えていたのか?今更気がついた。まあこの町は様々な人が集うため全く気にならなかった。そもそも獣っぽい人とか耳が長い人とかもう地球人ですらない人も多々居たので気にしてなかった。獣人、エルフと言うらしい。他にもはて?って疑問にナルわけのわからない亜人も居た。ダンジョンシティはこの世界の人の様々なタイプの人達が集まってるんじゃないか?と僕は考えていた。
『サトル起きてください』
ルゥが朝になり起こしてくれた。宿屋で独り言を聞かれるのは嫌なのでブツブツ言うのはやめておいた。
(思ったけど、ルゥって寝なくて良いの?)
『寝ようと思えば寝れますけど、別に寝なくても良いですよ。ただ今日は寝ました。私だけが意識をはっきりしておくと学習効率が落ちるんですよ』
(そんなデメリットがあったのか)
ワクワクしていた。実は巨人と大きさが違いすぎて確かに全くの素人よりはマシだったが大半剣の力でイマイチしっくりきてなかった。ルゥが戦ったゴブリンの経験がどれだけ吸収出来てるのか?楽しみにしてた。
「ルゥ今日はゴブリン弱らせなくて良いよ。一匹だけ僕に回して」
「そんな強い敵じゃないし、おそらく大丈夫でしょう。分かりました」
相変わらず人間もゴブリンもわんさか居た。しかし、昨日聞いた採掘してる人の警護とかそういう人は居なかったな。もしかして特定の場所で掘れるのかな?まあいつか見れれば良いや。早速ルゥがゴブリンの集団を見つけて倒しに行った。器用だなと思うけど、わざと僕の方に隙ありみたいにこっち来るようにゴブリンを放置した。大体ゴブリンも分かるのかな。こいつの方が弱そうって。しかし、残念でしたと言いたくなってしまった。ゴブリンの動きに対応できてる。初めてまともに戦った気がし無い。ただ一つだけ気になる事があった。間合いが違うからやりにくい。相手の攻撃は上手く対処できるけど、自分の攻撃が何か変。全滅させて回収作業を行ってる時、
「ルゥあのさ、君って素手で戦うよね。どうも剣の間合いや動きと違うから体の使い方がイマイチ学習してない」
「いろいろ注文ありますね…。良いですよ似た動きになる武器を使いますか」
そういってルゥは左手から炎を出し、右手から氷の剣を作りあげた。その二つを巧みに使って剣を使うようにゴブリンを攻撃した。ただ炎の方は炎が伸びて飛んでいくって感じだった。まるで鎖鎌の鎖の方みたいな使い方だった。ふふ学習効果が楽しみだ。そうこうしてるとすぐに荷物が一杯になってしまって一度戻った。こんなんじゃあまり稼げないなと思ってるとさばいた肉をぽんぽん小さな荷物入れに放り込んでいた。