道端にて
取りあえず僕は歩き始めた。ただどこへ行けばいいんだろうか?しばらくすると人が通った後のある道に出た。
「助かった」
僕は嬉しさのあまりつい声を出してしまった。この道をたどっていけば人のすむ場所に出るんじゃないかな?と楽観視していてた。しかし1時間ほど歩いてその見通しが甘かったのを知る。
「ルー居る?」
『居ますよー』
「疲れたおんぶして…」
情けないと思われても僕は先ほどの戦闘を見てルーデシアは普通の女の子の様に見なくて良いのじゃないか?と思ってた。そもそも僕と合体する時点で普通じゃないし…。
「はいはい、良いですよ。所でルーって何ですか?」
「いやいや呼びかけに応じたって事は把握してるじゃないー」
「ルーデシア駄目ですか…」
「何かそれ硬い。ルゥって小さなウで呼びたい感じだと思って」
案の定彼女に心配は要らなかった。僕より多分体格は華奢だと思う。しかし軽々僕をおんぶして軽い足取りで道を進んでいた。未知の場所で体力温存は重要だ。どーせ誰も見てない恥じも外聞もあるかー。と思っていたら見られてしまいました…。人っ子一人居ないから投げやりになっておんぶだったのに、運が良いのか悪いのか…。
「すみませんー、近くに集落とか無いでしょうか?」
中年のおじさんという所だろうか。馬と言うかロバかな?ロバに荷馬車を引かせて徒歩の僕らに追いついてきたようだ。
「今から帰るところだよ。良かったら乗っていくかい?」
「有難うございます」
しばらくして
「変わった服装だね」
「ええ旅の途中でダンジョンって知りませんか?」
「俺は知らないね」
「ダンジョンを探索してここにはやってきました」
なんとか強引に分かりやすくこれまでの事を改良して話してた。安心させようと言うのが大きかったと思う。服装があまりにも違いすぎた。だから不審に思うのは当たり前だと思う。それでダンジョンの話しが有名ならと如何にもそれが目的の旅行者だと装ってみた。ただ計算外だったのは知らなかったのか…。周知の事では無いようだ。
集落までどれぐらい掛かるのか?と聞いて、取りとめもなく話をしていた。本当は現地の人の情報がすごく欲しかったが何を話せば良いかが分からなかった。ただ、上手く聞きだせずに自分の話ばかりになってしまってトレジャーハンターみたいのを生業にしてるような話をして、価値がさっぱり分からなかったがその中で小さな金ぴかの金属を渡して。お礼がしたいけどこれで足りるかな?と話すと、
「良いのかい?」
「あいにくお金を使いきってしまって、持ち物はダンジョンで手に入れたお宝だけになってしまって途方にくれてて、本当にあなたには感謝してるから。足りるなら是非貰ってほしい」
足りない分には困らなかったまた渡せば良いから。しかしなんとも曖昧な返事をされた。すごく多いのか?それさえも分からなかった。足りたのは分かった。そこでああ渡しすぎかも?とは思った。ただそれも考えて渡した。それほど困っていたので価値もさっぱり分からない世界でどーせまだまだたっぷりあるんだから損しても良いと思っていた。後一日でつくらしいけど、途中山を越えるため夜は危険なのでフモトで野宿する事になった。飯までご馳走になった。
「本当に感謝しています」
「良いよ良いよ。先ほど貰った金のおつりだと思ってよ」
(やっぱり多かったのか)
そんな風にちょっと惜しかったなと思ったけど、まさに宝の持ち腐れ、まあ飯の方が有難いと割り切っていた。たまに口を挟むことがあったけど、妙にルゥが大人しかった。あれあのおんぶ疲れたかな?と僕は余裕が出てきてちょっと悪いことしたかな?と反省してた。
夜も更け、ぐったり疲れていた僕は熟睡していた。しかし真夜中になんだかガタガタ聞こえて起きてしまった。辺りを見回すと、焚き火の灯りに見えたのは、ルゥに組み伏せられたおじさんの姿だった。
「ルゥ何やってるの?」
「こいつが私達殺そうとしてたんですよ」
「どういう事?」
ルゥに縄で縛られたおじさんは何も答えなかった。
「どーせ昼間渡した金にめがくらんだんでしょ。念のため私が見張っておきます。サトルは寝てください」
普通は寝られないだろうな。僕は寝てしまっていた。僕はあの巨人との戦いでルゥを絶対視するような風に見るようになってしまった。彼女の寝ても良いと言う言葉は疲れた僕にとって催眠効果があるように働いた。起きると。
「ルゥいねーじゃんー」
『ちゃんと見張ってますよ』
「なんで合体してる??」
彼女はそれを聞くと姿を現した。
「ちょっと大事な事があったためです。まああれも寝てますから」
と彼女はおじさんを指差した。なんというかこの人肝が据わってるのか。縄に括られたまま寝ていた。おかげで彼女の事見られずにすんだけど。