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区切りの10階

 10階は今までの敵に加えてオーガと言う2、3M代の人型の西洋鬼と言う感じのモンスターが登場する。強力な敵ではあるがいかんせんおつむの方がイマイチ。連携を取って攻撃するようなウェアウルフのような敵の方が強いのじゃないか?と感じた。そしてフロアモンスターはこの巨大型。トロルぐらいの大きさでちょっと厄介だったがたった一人ではそれほど強さは感じなかった。トロルと違うのは素早さが全く違う。ただウェアウルフほどじゃない。何より武器が棍棒だった。棍棒の何が駄目か?と言うとルゥ単独なら多少てこずっただろうが一体化した僕の剣切りには全く歯が立たなかった。スパッと切れてしまって武器として役に立たずに後は瞬殺に近かった。ただもしまともな武器を持っていたら怖い敵だったかもしれない。


 しかしこれで終わりではなかった。


「サトル、以前から10階は苦しいと聞いてきてあっさり過ぎておかしいと思ったため詳しく調査して様々な経験者から話を聞きました。それによると10階が制覇困難なのはフロアモンスターとは違うヌシがいるからだそうです。私達はそれと遭遇して無いから簡単に制覇できただけだと思います」

「ルゥらしくないな。いつもならそれはついていたとして喜ぶべきじゃないかい?」

「何か引っかかるんですよね。私は取りあえず10階でやめておいたほうが良いと思っています。以前から考えていたマイルズのダンジョンに行くべきです。だからこのヌシを残したままマイルズに行くのは駄目だと私の中の直感がそう言わせています」

「前からずっとマイルズ行きたいんだろうなと思ってたけど何故?」

「正直に言います。サトルが私達に較べて弱いです。そしてサトルの成長できないのはミルを過剰に守りすぎるからです。ある程度ミル単独でも戦えないと不味い。それは魔法使いとしては優れているミルには無理がある話しです、ならダンジョンの武器によって底上げするしかない。ミル私間違って無いよね?」

《うん》

「随分間接的で遠因ではあるけど、確かにそれはあるかもしれない。良いよヌシを区切りにマイルズにいこう。まあ金が苦しいか?と思ってたらダンジョン制覇の財宝追加されたし、1、2ヶ月マイルズを拠点にやれるか。でもさ一定の区切りでそれ以上になるなら撤退しよう」

「はい」


 僕らはヌシの情報を聞いて10階に挑んだ。新しく表れたオーガらしい。ただずっと出会うまでは不思議だった。だって僕がウェアウルフより弱いんじゃないか?と思ってたから。しかしあこれはヌシだとすぐ分かるオーガに出会って考えを改めた。まず大きさが違う。さすがにフロアモンスターほどは大きくない。しかし他のオーガよりは一回り二回りは違いがあった。だがそれだけなら個体差のばらつきだとしてヌシだと思わなかった。あの時感じた嫌な記憶が蘇った。質のよさそうな大剣を担いでうろつきまわっていた。


 僕はこの事について笑っていた。フロアモンスターフロア内最強。それが僕の中の常識だった。一目見てこれはこいつの方が強いと感じた。これは盲点だった。必ず倒さなくては通れないフロアモンスターはより強い冒険者によって打倒されて刷新される。先に進んだ冒険者がいるのならその階のフロアモンスターは誕生してからの期間が短い。経験豊富で様々な冒険者と戦いより良い武器に変えてきたモンスターの方が強くなるのでは?そしてわざわざ倒さなくて良い相手を好んで倒そうとするもの好きな冒険者はいるのか?となる。偶然遭遇してしまったから殺される弱気冒険者達。そんな形で生き残って来たのだろう。


 相手を歴戦のツワモノと認めてすぐに僕らは一体化をして出来る限りミルに距離をとって攻撃する様に伝える。こいつは戦いなれしてるから何をしてくるか?予想がつかないから。経験がおつむのイマイチさをカバーできるのかもしれない。後は戦ってみて確かめる。やはり思ったとおり、僕の剣切りは通用しない。より強い相手でリベンジマッチだ。イマイチなパーティでも僕より高い技量の剣士はいくらでもいる。彼らから学んだのは僕は初歩の初歩である。フェイントと攻撃と攻撃の連続性がさっぱりな事が分かった。これ実は初歩だった。これは実は僕はルゥとの睡眠学習を経て体では会得していた。初歩の初歩だから。これを剣技に応用する事が出来てなかった。3階からずっとこれを意識して磨いてきた。やっと剣切りが通用しない披露する相手が来た。


 たださすがに素人剣士のフェイントには中々ひかかってくれない。大半の敵は所詮野生動物のような知性。この下手糞なフェイントでそれなりには実践で通用していた。しかし、こいつは違う。そもそもこいつは頭が良いのではないか?と思い始めていた。どうして今まで生き延びてきたのか?強敵を避けてきた可能性もある。強敵と戦うほうが磨かれるような気がする。しかし殺されたら終わりと言う戦いにおいて必ずしもそれが良いとは思わない。いやむしろそれは強くなるには愚策だと感じてしまう。連続攻撃も酷いものだった。単にルゥとの一体化による早い動きと反応速度で強引にななんだか結果論的な複雑な攻撃の流れになってるだけだった。それでも3階の時よりは戦えている。多分獣にも馬鹿にされるような単調な攻撃だったんだろうな。


 最終的にはミルの援護とルゥの馬鹿げた身体能力が決め手になったけど、今回は僕の攻撃が全く無駄だったそれはなかった。ちょっと進めた。この階は金目のものが多くてなおかつかなり質のよさそうな大剣が手に入ったので有終の美を飾れたと思う。僕らは換金後に反省会をしていた。と言うか大局的な計画は良く話すけど、この手のシンプルな技術的話はあまりした事が無かった。今回はしばらくここを離れるので特別な意味があった。


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