肉の味
すげーな逆に相手の剣に感心した。腕輪をはめた僕の剣を受け止めていた。これ価値のある武器だな。誰かが前に突破してるのは確か。上位制覇の冒険者は居るから。ただこれはその後取った冒険者の武器なんだろうな。武器のおかげというのはあるがそれを言ったらお互い様だろう。運の良い奴とは思いつつしゃーね倒すしかないと覚悟決めていた。ただ僕とルゥが平均化されるわけじゃない。ルゥに上乗せされる感じなんだ。僕の普段の速度じゃないからどうとでも戦うことが出来た。人間離れした分僕の方が有利だった。これに加えてミルの後方支援。ただこのウルフ僕より剣の技量高い…。獣のくせにーー。
間違いなく僕が単独で戦っていたら倒される。しかもこの上手さでこのウルフ怪力だからな…。剣の技量を無視した剣切りで僕はちょくちょく勝利を収めていて、それが通用し無い相手は苦手だった。勝てるとは思ったけど、その大半はルゥの力と剣のもつ攻撃力と防御力によるところが大きい。なおかつこれにミルからの回復支援も在る。強くなったつもりだったんだけどな、モンスターに剣で負けるってのはショックだな。人間より早いとか、力があるとかモンスターの剣技なんてその程度だった。悔しい。最終的にはルゥの身体能力を一体化でオーバースペックで引き出すことによる力押しで勝てた。とにかく切り刻んでやった。ただこれだけ切り刻んで致命傷なのが最後の方の数箇所。結局それまでのダメージとミルの攻撃によって動きが鈍って致命傷を与えられただけで、最後まで僕の剣技は通用しなかった…。
ただこの剣は拾い物だ帰ってからの換金が楽しみだ。念のため4階には上らずに3階の4階への上がる部分で入り口までワープした。
1階の2倍には換金できた。ゴブリンより狼系は肉が上手いらしい。そういえば蛇が上手かったけどその上手さを誰も知らなくて売れなかったので、なるべく食ってそのままにしてたけど、肉の感じが違って区別できたので助かった…。いずれは何か肉を区別できるようにしておかないとな。さすがに上手かったので捨てるのはもったないな…。狼系をほとんど処理できたのは大きい。蛇焼いてしまって残念だなと思ってたけど、まさか上手いのに売れないとは思わなかったな。ただ剣全体ではあまり高く売れなかった。僕の剣切りが不味かった。次の剣の材料としては引き取ってくれたけど、武器としての価値は0らしい。結局あの大剣とルゥが倒したウルフが持っていた剣の利益の大半だった。今回良い所が僕無かったな…。
「あの皆さん僕の勝手なお願いなのですが、もう1回3階挑戦しても良い?」
《良いよ》
「逆に私は4階に上がろうと話していたら3階の話ししてたと思います。剣が売れた事で稼ぎが良かったのと、サトル最後の戦い不満なんですよね?」
「そそリベンジしたい」
次の日結果は散々だった。それは途中ウルフに結局は剣切りを使ってしまった事があったことと、なんと言っても最後が酷かった。相手の剣がしょぼすぎた。気をつけてはいたけど、僕は気合入れすぎて思い切り剣ごと体を切って終ってしまった。相手は完璧に受け止めてるのに…。
「まあサトルもう良いでしょ。倒した冒険者からおそらく集めてる武器を使ってるなら、何度も挑戦したら剣がなくなってしまって棍棒とかになるのでは無いですか?」
「そうだね。上に行こう」
稼ぎも1階のゴブリン並で、肉がゴブリンより高級だからってだけでそれ以外はイマイチなフロアーになってしまった。ただ僕らは失った数日間を取り戻すように着実にお金を稼いでいた。しかしこの後そういった気持が虚しくなる事となった。
次の日から4階に上ったけど、8階当たりまで3階までの敵の繰り返しばかりだった。手抜きだぞーって言いたかったが、お金だけは溜まった。わざわざ3階をやり直すべきじゃなかったと無駄骨になってしまった。後やっぱり2度と優れた武器を手にしたフロアモンスターのウルフとで合う事は無かった。長期戦で剣を叩きおって勝利ばかりになってしまった。
「サトル思ったのですが、そんな数日である程度のレベルがある剣士が急成長するわけ無いと思うのですけど…」
「最近睡眠学習の効果薄いしね」
「ただ私は置いておいてミルの成長はそのままサトルに反映されると思います」
《うーん私も魔力は増えてるけどレベルの高い魔法については今頓挫してるよ。魔力の増加はあまりサトルに効果が薄いみたい》
「うーんとね、多分僕魔法前より連発できると思う。ただ僕って戦い方からそこまで魔法連発って必要が無い。自然に回復する程度しか使わないからあんまり効果がね…」
8階は通常モンスターはこの地方の植生とこれまでの混成で南国向きだと思っていたアントも出てきた。考えてみると南国の方が活発だとしても温帯地方にアリが居ないわけじゃない。まあ不思議ではないか。さて問題はフロアモンスターだった。でかいとにかくでかいなトロール。ただせいぜい3、4M。すでにフロアのウルフが2から3Mぐらいあったのと、大蛇に出会っていた事でそんなには手強い敵じゃなかった。周りに敵が居ないと僕とルゥの一体化攻撃が可能だったからこういう大きくても鈍い敵はそれほど苦にならなかった。大蛇は尻尾がすごかったんだよな。ただこういう敵は終った後の肉が楽しみだった。蛇を食いきって大量に取れたからバッグ一杯に詰め込んだ。蛇焼いてしまってもったいないなと後から旨くて惜しかったと思ってたけど、トロルの比じゃないからあれ一部持って帰ってだけでよかったのかも。トロルな…。売れなかった…。このモンスター特異過ぎる。おかげで肉の旨さが知られて無い。だが、そもそも肉が平凡程度の旨さだった。いや普通に食べられる家畜の肉より不味かった。食べられないわけじゃない。でもモンスター肉でグルメになってるこの町の住人に提供するものじゃないわ。当分僕らはこのイマイチな肉で肉料理三昧だった…。




