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シティへの帰還

「私自分ではパーティの頭脳担当と思ってるのですけどね…」


 実際そう…。文武両道とはまさに彼女にぴったしな言葉。一体化で倒そうとしたら、アントのボスが中々厄介だった。クイーンアント。所謂女王蟻。だから当然回りにはソルジャーアント、ノーマルアントが控えていた。これクイーンアント狙うと細かい連中にミルが攻撃される。僕がそれ担当になって、新生ルゥさんに一人任せた。


 ただそれでも僕らの方もすごい数だ。しかし、僕らはこういう戦いに向いていた。広範囲攻撃ならこのパーティでミル以上のメンバーは居ない。そして実は僕はアントが大得意なんだ。本当言うと得意じゃない。ただ他の冒険者が苦にするだろう硬い外殻が僕には苦にならない。異常な剣の切れ味、岩をも切ってしまうだろうこの剣にとってアント程度の外殻はまるで大したことが無かった。しかもダンジョン攻略の経験は伊達じゃない。僕は剣の使い方が上手くなってる。僕はあくまでルゥの戦闘をベースにしたものでしかなかった。あの経験で、僕は僕独自の剣士としての技量を磨きつつあった。しかもミルを守って戦うのが慣れてしまっていた。ミルを守ってばったばったとアントを切り払う僕ってもしかしてカッコイイんじゃない?とか考える余裕すらあった。多分僕並みの剣士程度だと思う。ただこの剣を持つと自分はすごい剣士なんじゃないか?って絶対錯覚するよ。ざくんとかグゾッみたいな普通の剣って鈍いんだよな。僕常にシュパだもん。居合いの天才になった気分。かっこつけてるけど、大半当たってない…。この剣の剣先効果でスパスパきり刻んでる。ただたまにマグレあたりした時の気持ちよさすごいわ。


 ルゥより僕らの方が先に片付けた。ただなんとなくもう一体化はしなかった。無難に魔法による遠距離攻撃をしていた。ルゥが強すぎて手堅くいけば勝てるから。万が一クイーンがわずらわしくてミルに攻撃を向けても僕が盾になって対処できるから。ひたすら打撲、切断は使ってなかった。逆に硬い外殻が圧倒的な腕力でぶん殴る事でヒビが入ってた。ただ出鱈目殴ってるように見えてルゥには作戦が合ったようだ。特定の足を狙っていた。どれだけ硬い外殻も何度もあの馬鹿力で殴られた壊れていく。一つの足が壊れたら人間ほどじゃないが後は脆かった。最初からルゥは高い位置にある頭を潰したかったようだ。足が崩れる事でそれが常に高く保てないのを狙っていたようだ。頭かち割ってゲームオーバー。まあ当然これ戦利品無いよな…。あくまであのダンジョンで様々なものを集めたのは、珍しいからでアントの部位など特にシティでは珍しいものじゃなかった。すぐに3階に上がって僕らは一瞥して外に出た。敵が居なかったためどんなところか?分からない。ただ南国昆虫ランドとは違うようだ。


「次は稼げると良いね」

「うん」


 二人は力なく返事をして、僕らは宿屋に帰って寝た。この数日間肉を補給した以外はほとんど稼ぎが無かった。高い武器を買ったと思えば良いのかな。成功してよかったな。しかし僕らは翌日真実を知るのだが、どうやらダンジョンの階が少ない所の武器はしょぼいらしい…。見返りが少ないから。マイナーダンジョンをめぐるってあんまり無いようだ。いつまでも階層が深くて攻略できないとそのうち噂になって人が寄ってくる。上手くできてるようだ。ただルゥは満足していた。僕もそれは分かった。そもそも驚異的な力を持つ彼女の場合ほんの少しのレベルアップも大きな力になるから。特に彼女の戦闘に特化した武器だったのは大きい。市販の物じゃこうはいかないから。


 3階で稼ぎが悪いと一階に戻ることも検討に入れて僕らはダンジョンに向かった。ただし、出来たら1階には戻りたくなかった。僕らはモンスターだけを敵にしたくて、ダンジョン挑戦者と言う冒険者を敵に回したくはなかった。圧倒的な強さを持つパーティがその力に任せて低い階層で荒稼ぎをするのは基本タブーだったから。初心者冒険者が迷惑するなら。前からそれは分かってたから、僕らは1階攻略を繰り返すのを避けていた。3階は2階より稼げると聞いてて安心してる。ただ多くの冒険者を養う1階の美味しさは相当なものなんじゃないか?と後になると分かってきた。その点優れた冒険者が必ずしも稼げるわけじゃないこの変なダンジョンに複雑な思いも抱いたところが在る。


 3階からが本番とか言われている。死の危険と隣り合わせになるゾーンだから。前情報を仕入れて向かった。ヘルハウンドとウェアウルフ。どんなモンスターかと言うとヘルハウンドは炎弾の魔法を使った遠距離攻撃。後はウェアウルフは個体差が大きいのと、この階で死んだ冒険者の武器を持ってることが多い事。それはゴブリンも同じではないか?と言うとそうじゃない。1階は人の出入りが激しいのですぐに倒されてしまうのとあまり死ぬ冒険者が多く無いから。ただゴブリン同様高価な宝石鉱物を集める趣味があったのと同時に武器を使う傾向があるため。金銭的に価値の高い持ち物が多い。元は人間の物だから複雑な気分だが、さながらリサイクルショップという所か…。


 1階の方が美味しいのは、リスクと戦闘時間。たおすのにやっかいなのに持ってるものはゴブリンと基本変わらない。効率が悪い。ただいずれは強い冒険者が特になる階があるとは知っている。上位階の挑戦者の方がお金持ちだからだ。ただそこまで行くまでは案外1階で稼ぐほうが美味しいと言うなんとも言えない事になってしまっている。しかもその突き抜ける階までいける冒険者は数がかなり減ってしまう。


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