和風ダンジョン
「そもそも私は大規模な魔法の時は詠唱に時間掛かるし武器を持ってもあまり有効に行かせると思わない」
そうなんだよな、ルゥみたいなショボイな魔法しか使えない時は気が付かなかったけど、魔法って何か詠唱が居るんだよな。僕もミルのを見て真似してるだけで魔法の知識とかさっぱり無かった。10才程度の娘が様々な博学知識を吸収して僕らと知り合う前から様々な魔法の知識も持っている。ミルって戦闘以外で見ると多分天才児の類だよな。実務有能格闘得意のルゥ。僕って何かイマイチな気が…。いや僕剣があるからーーー。我ながら今になると剣を手放す提案をした自分が恥ずかしい。僕これしかすごいもの無いな。
2階に行く前に猫を解体して肉を保存して僕らは野営する事にした。久しぶりに十分休んだのと、ルゥが休息的な意味が強い一体化して見張りをしてくれるようだ。僕はミルを守るようにして安心して眠った。念のため少し猫の焼け爛れた肉を残しておいて使いものになりそうに無い皮とまとめて少し離れた場所においておいた。満腹ならイチイチ攻撃してこないだろう。この化猫以外ここは日本の野生動物のフロアだと思う。それほど攻撃的な生き物ではなかった。和風だと確信したのは植生を見てて懐かしい草木に溢れていたから。先の事はあまり考えたくないけど、このダンジョン閉じるのちょっと惜しいなとは思っていた。懐かしい日本の原風景に溢れた自然だったから。
次の日2階の攻略に挑んだ。うわー魑魅魍魎の世界だ…。動物じゃない。本格的に妖怪が出てきました。ちなみに一体化していたのであまり睡眠学習の効果が無かった。これは前にも一度あって似たような戦闘を繰り返す場合得られる学習の効果が少ない。結局最後は自分の体で覚えろって話だ。高いレベルの戦闘はあんまり吸収できないようだ。はっきり言って強かった。鬼やその多もろもろ本格的な化け物のオンパレード。ただ僕らとしてはそれほどの敵じゃなかった。それよりこれ食うのか?疑問になって金になるか?分からないけど、鬼の角とかそういう珍しいものだけせっせと集めていた。本当にここ人来ないの分かる。狐とか狸とか特に強いて言うほど旨い訳じゃない。しかもあの化け猫僕らでも倒すのに苦労した。結局ここはレベルの高い冒険者がダンジョン攻略を目的として来る以外は多分来る動機が無いんだよな。変わった趣味の人が他人にはゴミみたいなものをコレクターとして集めてるあんな気分になってきて虚しくなってきた…。後ここ和風建築オンパレードなんだけど、何故人だけ都合よく居ないんだろうな。ダンジョンってこの辺り良くわからないわ。
このダンジョン基本狭い。すぐにフロアモンスターと出会う事になった。なんと言うか、フロアモンスターって別格ぐらい強くないか?天狗が現れた。強さ自体は分からないが、空を時折飛ぶのがすごく厄介だった。僕らの一番の戦力のルゥがイマイチ活躍できなかった。それでも攻撃しようと近づいてきた天狗を飛び上がって殴りかかるのは人間離れした身体能力だけど。当然僕にはそんな真似できなかったので、ミルを守りつつ本当に接近してきたら剣で戦うって無理をし無い戦闘をしてた。そして当然魔法による遠隔攻撃をミルと共に行っていた。ただ僕イマイチしょぼいんだよな…。フロアモンスター以外なら強力な魔法の部類に入る。ルゥにはまるで使いこなす事が出来ないレベルの魔法だったから。だけどこのクラスだとイマイチダメージになってないな。こういう時弓とか武器がいるよな。まあ魔法があるからなんとかなってた。僕だけが武器に頼った戦闘なのでイマイチ弱かった。幸い僕は剣による強力な防御が働いていたので、ミルの盾だと割り切ってミルに決定打は任せていた。
戦闘は少し長引いた。そもそも最初飛ぶことを知らずにモンスターが一匹しか居なかったので一体化して対応していた。イマイチ攻撃あたらないわで、効果的な攻撃が出来てるミルが狙われるので、僕が盾として分離してルゥ一人に格闘を任せた。後地味だけど魔法効いてるしね。ただ僕の欠点として無尽蔵の魔力があるわけじゃないので魔力の回復を待ってあまり連発できなかった。ミルおかしいわー。魔法の申し子だわ。僕よりレベルの高い魔法を一人奮闘して天狗にぶつけていた。しかし一見防御の弱いミルが狙われるこの陣形弱そうに見えて実は強固。一度天狗イラついたのかミルを直接攻撃しようと近づいてきた時僕のキレキレの剣をお見舞いしてやった。すげー簡単だった。相手僕が居る事あまり見えてなかった。でもそこからはすげー僕に警戒して簡単には降りてこなくなった。しかもちょっとでも近づくとルゥの攻撃が待ってる。天狗も遠距離用の風の魔法を持ってるようだ。ただミルと比較すると基本は近接戦闘を得意とするタイプだ。空からの攻撃ってそれだけですげーやりにくいからな。ミル天敵ぐらいやりにくい相手だろう。
責めあぐねているうちに魔法によるダメージが蓄積して、特攻してきたところをルゥにどつかれて落ちてしまった。後は僕が止めを刺して倒した。いろいろと装備品とか分捕ったけど、この肉食べる気せんわ…。大量に1階で肉を仕入れたため2階の死体は大半捨てていく事にした。戦闘が長引いてしまったため2日目の野営となった。




