次のダンジョン
僕らは次のダンジョンを攻略する覚悟を決めた。何故このダンジョンがマイナーダンジョンか良く分かった。中継地点となった町が町というより村に近い。何かしらダンジョンで取れても売りさばくにはマイルズまで戻る必要がある。他にもあるらしいが似たような遠さらしい。しかもこのダンジョンは異色で外の世界で見かけるようなモンスターはさっぱり居ない。アントは珍しいが大陸の南方では生育している。このダンジョンはどこにも見た事が無いような敵ばかりだった。ただ見た目は普通の動物だと思う。じゃ動物じゃないのか?と言うとただの動物かもしれない。僕は良く分かった。この付近でも居ることは居るけど、どっちかと言えば日本の動物に近かった。はっきり言って弱い。ただ逆にこれ食えるかも?と思ってルゥに毒見がてたら食べてもらったら臭みはあるが普通に肉として食えるらしい。僕もどう見てもただの狸や狐にしか見えないから。そもそも精霊みたいなものだと言うルゥが丈夫なのは分かる。だが食事特に必要じゃないし、その丈夫さで人間の毒見が務まるのだろうか…。結果オーライで普通の動物っぽいので僕らは保存可能な魔法バッグに肉をつめるだけ詰めこんだ。マイルズでも追加したし食料は十分持ってきたけど、この先長いのだから。
さてこのダンジョンが人気が無い最大の原因と僕らは向き合っていた。さっぱり美味しくない1階で強敵のフロアモンスター。巨大な猫。倒したとしてもこいつ絶対何ももって無いだろうな。和風テイストだから猫に小判とか?いやそれ価値が分からんことわざだった。
「サトルここです。一体化しましょう。ミルどうしてもその分ミルの危険が大きくなりますが任せましたよ」
「うん」
今までもずっと一体化してきたけど、それはどちからと言えば静であるときが多かった。戦闘時は一度も無かったと思う。いつもの事だと思ってたけど、それは戦闘時じゃなかった。なんだこの体は…。
猫はどっちかと言えば素早い動物だ。大きくなっても鈍い動きではなかった。しかし、ルゥが凄かったのは人間離れした動きと素手での破壊力。これを上回り、かつ僕特有の剣の力も加わっていた。それでも僕は多分これはすごいと感じていたけど、敢えてミルの攻撃の支援に回っていた。ミルに足りない戦闘経験をつませるためだった。いつもは僕が間にたってミルの防御を引き受けている。直接これだけの強敵と向き合う怖さを知って欲しいというのがあった。なんていうけど実は僕も怖かった…。ルゥとの一体感これすごいわ。安心すぎる。
ミルの攻撃がジワジワと猫の体力を奪っていった。ただ巨大猫は僕を無視してミルを直接攻撃し始めた。そろそろこりゃやばいな。ミルと直接戦闘させるのが目的じゃない。そういうリスクもあると知って欲しかっただけ。それにそもそもデカブツが一発で倒れそうにないので長期戦に持ち込んだだけで、これ以上僕を無視した攻撃されるのは危険だ。当たらなくても良いからやたらめったに猫を切り始めた。それによってたまに傷が出来る事で猫は僕を無視できないようになってきた。ただもう遅いんだよね。魔法によるダメージと疲労で一体化した僕の動きについてこれるわけがない。相手にクリーンヒットを与えるように狙い始めた。ただここからは僕も予想外だった。一発でほとんど決まってしまった。ザクっと横腹辺りを切ったらそれが深手過ぎて意識朦朧として倒れてしまった。僕は止めを刺して死んだのを確認した。ルゥと離れて。
「ちょちょ、これからって時だったのに何故?」
「剣と私の力でしょうね。今なら岩でも切れそうですね」
「ならさルゥが剣持てば良いんじゃない?」
「そうなると今度はサトルが使いものにならなくなると思います」
基本的にルゥは僕を立ててくれる。でもこういう生死が掛かった事は辛辣だな。
「ですから、このダンジョンで私の武器を手に入れようって話しなんですよ」
「ミルのは良いの?」
ミルが口を挟んだ。
「私よりルゥを優先して、魔法があればなんとかなるから」
「確かにそれは言えてる」
思ったより動ける近接できるだったけど、それはあくまで身を守る程度で、武器を持った戦闘でミルが中心になって今みたいな戦闘ができるか?ならそれは僕も疑問だった。




