昆虫
「ミルダンジョンって不思議じゃない?どう考えても胡椒とかこの辺りで取れるものじゃないよね?」
「うん」
「誰があれ持ってきたと思う?しかもかれることが無い植生とモンスター」
「分からないけど、1階と2階で全く違うのも変だよね」
「そうそう」
僕はルゥに相談してからが良いのか?良く分からないけど、もう話してしまっても良いと思ってた。そもそも秘密にしてたわけじゃない。他人を警戒して言わなかっただけで、眷族はそうじゃない。
「あのさ僕は実はダンジョン攻略者なんだよ。ルゥが今回の事を持ち出したのはそれは僕らのダンジョンの知識からじゃない。経験から話している。だから僕らにとってそれは当たり前の選択なんだよ。この町では未踏のダンジョンが当たり前だけど、ダンジョンは本来役目を終えたら消えてしまうんだ」
「ちょっと変だなとは思ってた」
「ルゥ黙ってたわけじゃない。急いでいたから多分ミルの事考えずに話してしまったから。その証拠に後から振り返るとあれ隠そうとして話してない。ミルの事同じ眷属だから警戒すべき他人だと思ってない」
僕らはその後寝てしまった。いやールゥさん帰ってきませんでした…。眠らない町ダンジョンシティでそのまま聞き込みまわってるのか…。
翌朝ルゥが駆け込んで僕らは起きた。すぐに用意して旅行の準備をする話をされた。宿屋で清算して、またすぐに戻ってくるからその時は頼むような話をして出て行った。荷馬車に乗り込みそこでやっとルゥが話し始めた。僕はミルが分からないだろうから独り言みたいに話すから。適当に相槌打ってくれと話しておいた。
「割と早く見つかったよね」
『実際はもっと早く見つかったのですが、ダンジョンの話をいろいろ集めていました』
「じゃこの荷馬車はダンジョンの町に向かってるの?」
『ダンジョンの町と言うのはちょっと違います。ダンジョンの付近の町です。ダンジョンは私達が最初に攻略したように普通は一定期間か長くても何十年もあり続けるものは無いです。それゆえダンジョンの産物を中心にした町作りが異常なんですよ』
「そういう事か、競争相手が多いから他にも何か探してたんだね?」
『はい、おそらく競争相手が多いのにまだ攻略されて無いなら。それは困難なダンジョンだと証明してるようなものですからね。マイナーなダンジョンの情報を探すのに時間が掛かっただけです。さすがダンジョンの町です。情報としてじゃなくて、常識として次の町のダンジョンは誰でも知っていますからね』
比較的規模の大きいダンジョン付近の町、マイルズに到着した。初期の頃に比べて本当に旅が便利になった。ずっと持ち歩いていた財宝をギルドに貴重品として管理してもらってるのが特に楽だった。いくらか換金して後はすべて保管してもらった。サービスでここまでやってくれてなおかつ安心できるというのがとても便利だった。かなりの額だがギルドで扱ってるお金に較べるとギルドが血迷った行動にでるような額じゃなかった。それに他にも上位階の冒険者が預けてるお金や貴重品もかなりの額だった。僕だけがお金持ちなわけじゃなかった。お金の価値が分かってくるとおそらくお金の掛からないルゥを無視して僕だけならあれでずっとやっていける。ただミルの分もこれからは稼がないといけない。だから僕らは未だに冒険者を続けている。眷属なんてしなけりゃ?うーんルゥに乗せられて成り行きだったと思う。ただ今ではミルを放り投げるつもりは一切無い。
ただ僕らは探索初日でもう次のダンジョンを目指していた。ルゥは最初からそういう計画だったらしい。実際入ってみて難易度を見て総合的に考えてこれは良くないと判断したようだ。ダンジョンはそれぞれ独特の世界がベースになっていて、それは外の世界と全く違っている。ただここはダンジョンシティと似た内容だった。塔ではなくて本当に地下にもぐるダンジョンなのがその違いだけど。以前から不思議だった。何故閉鎖された環境だと思うけど、こんな明るいんだ?そういった不思議。まどがあるんじゃないか?など以前は塔だから考えていた。しかし地下にもぐることでその仮説はスグに消滅した。明るいダンジョン。どうもダンジョンと言うのは独自の世界をその中に作っていて、そとの世界の理屈と分けてみるのが良いようだ。やめた理由は中途半端に人が居る事。
確かにダンジョンシティよりは少ない。でもだからって独占できるような状態じゃない。この中途半端さのせいで、攻略が困難だった。情報によるとあくまで2階だけが人が少ないだけで、ダンジョンシティの塔は3階からはすいすいらしい。これがこのダンジョンはどこも人手不足でモンスターだらけで進まないようだ。それを情報だけじゃなくて目で見て体験して確認したことになる。後この町は多彩なダンジョンの産出物を商品に変えるシステムが出来てない。せいぜい高価な宝石や鉱石ぐらい。長期滞在するにはあまり稼ぎにならないのを覚悟しないといけない。今欲しいのは短期決戦で攻略できる簡易ダンジョン。これは不向きだった。後町が遠くて不便だった。ただ次駄目ならもうダンジョンシティに戻ろうって話し合った。それと言うのもこれ以上ダンジョン攻略を目的に動き回るのは逆に非効率的となってしまうから。旅費や移動時間が馬鹿にならない。他のダンジョンに行って見るのは悪くないと経験だと割り切って次のダンジョンに向かった。
「ルゥ当たりだね」
「ええサトルこれなら行けそうです」




