表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天空遊園地  作者: ザクロ
4/18

コーヒーカップとティータイム

コーヒーカップに行くと、そこにはたくさんの子供たちが、楽しく遊んでいた

ただ、それは見かけだけで、目は死んだようになっていた。ここにいるのは、大半が、心を奪われた子供たち・・・・

だが、見たところ、空音はいないようだ。次へ進もう

「そこの少年、ちょっと来なよ」

すると、近くで椅子に座ってお茶を楽しんでいる、紳士のような格好をした少年・・・・いや、青年に声をかけられた

軽く帽子を取って、会釈をした彼に「まぁ、ここに座りなよ」と言われた

いつの間にか、お茶会に呼ばれてしまった。テーブルの上に並べられた、クッキーと、三つのカップ、三つの椅子

一人だけだというのに、まるで誰かを待っているような、テーブルだった

「あんたは何者なんだ」

俺は少し喧嘩腰で聞いた。すると、紳士のような青年は「まぁまぁ、落ち着きなよ」と冷静な態度をとった

そして、お茶をすすって、静かにコップを置いた

「やぁ、僕の名前は日下部春人くさかべはると春人と呼んでくれ。君の名前は?」

「俺は青葉高晴あおばたかはる妹の空音そらねを探している」

春人はまたお茶をすすると「なるほどね」とつぶやいた

「僕の自己紹介をもっとすると、僕は、12歳の頃、この遊園地に心を奪われた。だから僕は、もう死人だ。普通、心を奪われたものは、成長することなく、ただずっと同じ遊びを繰り返す、心もなく。だが、僕の場合は少し特別でね、このとおり、6年間、成長をすることができ、18歳になった。これは、どういう意味だと思う?」

「わけがわからない、そんな仕組みがあるのか?」

「まぁ、僕も驚いたんだけどね。僕は選ばれた子供なんだよ。ここの管理を任された子供なんだ」

なるほど、そう言われると説明もつく。どうして意識を持っているのか、どうしてこうやってお茶を楽しんでいるのか

それは、心を奪われたものの、管理人の一人に選ばれたからなのだと

「君も、その一人になれると思うよ。年が年だしね」

「ふざけるな!俺が何のためにここに来たのかもう一回言ってやる。妹を助けに来たんだ!そのためにならこの遊園地をぶっ壊す覚悟がある!」

すると、それでも冷静に、春人はお茶をすすって「なるほど」とつぶやいた

「つまり僕ら、管理人たちと対立すると?しかし、君も随分何もできないやつだな。もっと、交渉しようとは思わないのか?」

「出来るならとっくにやっている。できないから、こうやって喧嘩を売りに来た」

俺は心が痛くなった。確かに、俺は馬鹿で、本当に何も出来ない奴だ。交渉力もないとは・・・・

「なるほど、君がどうして、ここに呼ばれたのか、どうして心奪われないのか、理由がひとつじゃないことがわかった」

どういう意味だ?なんのことだかさっぱりだ・・・・

「君の行く末を見てみたい。だから、妹を助けられるんじゃないかと思われる、小さなヒントを教えてあげよう。残り、管理人は三人。その人たちに会って、妹がどこにいるか聞いて見たらいい。特別に地図も渡してあげよう」

そういって春人は、ポケットから小さく折りたたんだ地図をだし、俺に手渡した

「それでは、健闘を祈る」

どうしてここまで、春人は俺に優しいのか。どうしてここまでしてくれたのか。俺にはよくわからない

ただ、与えられたチャンスは、無駄にしてはいけない。進めるまで進んでやる

馬鹿でも、何もできなくても、やれる限り、最大限を尽くして・・・・



「青葉高晴・・・・本当の高晴なんだな・・・・どうか、俺達を救ってくれ、どうか、あの人を、止めてくれ・・・・」

春人はつぶやくと、また一人お茶をすすって、一人でお茶会をしていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ