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天空遊園地  作者: ザクロ
13/18

矛と盾


「馬鹿な、俺の願いより、お前の願いが上回っただと・・・・ありえない、ここは俺の願いでできた世界なのに、ありえない!!不安定な・・・・この世界が、不安定で、願いの力が弱まっているからなのか・・・・?」

階段を上がってきた敏晴は、俺たちを見て、戸惑っていた

ここで、言葉が引っかかった。俺の願いでできた世界。本当にここは現実じゃなくて、敏晴の願いの世界

では、管理人たちは?子供たちは?どうしてここに?

まず、管理人たちは何故、俺を助けた。その顔に、名前に、聞き覚えがある

思い出せ、すべてを、そして繋げろ。そうすれば

この世界の謎は解ける

俺は目を閉じ、しばらく考えた。・・・・そして目を見開いた。思い出した、繋がった!

「謎が解けた。どういうことだか、ここが願いでできた世界、だからこそ不安定で、時空が入り混じる世界ということがはっきりした

これで、大体の謎は、俺の記憶が鍵となって、解けた

まず、空音がなんでここに来たのか。それは、空音の「遊園地に行きたい」という願いだけじゃない

敏晴の「空音に会いたい」という願いと重なって、空音はここに来たんだ

次に「俺がなぜここに来たのか」これは、俺も、管理人たちも、敏晴も、疑問に思っていたはずだ

いくつか理由がある。一つ目は「空音に会いたい」という俺の願い。二つ目は「お兄ちゃんと一緒に遊びたい」という空音の願い

そして三つ目は「もう一度、俺と会って、話し合いたい、やり直したい」という、敏晴の願い

この三つが重なって、俺がここに来たという偶然ではなく、必然が生まれた

そもそも、この世界を作った敏晴の願いは「空音と自分のためだけの理想郷を作りたい」だけではない

自分は、何もできなかった。願いを叶えることができなかった。だからこそ、願いの叶う場所を作りたい

「誰かの願いを叶えたい」という願い。そして、夢のような世界で、誰かの願いを叶える。そのためにこの遊園地を願いで作った

しかし、この場所は、願いの力がなければ不安定で崩れる。空音をここに呼ぶまで、この場所を保つ必要がある

だから子供たちを様々な時間枠から集めて、ここに願いを止めさせた。それが結果的に「心を奪う」ことにつながった

では、管理人たちは?それは、俺が頑張って思い出せば、すぐに済む話だった

管理人たちもまた、この時空が入り乱れる世界で、様々な時間から来た子供たちだ

しかし、管理人になった最大の理由、それは・・・・

まだ、俺たちが、そこまで仲が悪くなかった、小学校の三年生の頃「一緒に遊んだ友達だった」からだ

しかし、四人は謎の行方不明で、いなくなった

春人は6年前にここに来たと言っていた。しかし、行方不明になったのは3年前だ

ここで謎が出てくる。なぜ、遊園地のなかった6年前から、12歳の状態で来ることができたのか

それに、俺たち6人は、同い年、同じ学年、同じクラスだったはずだ。なのに、なぜ、なぜ年齢がバラバラになったのか

ここからは、俺にもよく分からない。だから、推測でしかないが・・・・

・・・・例えば、日下部春人は、2年前の遊園地ができたとき、3年前の時空から12歳の状態で、ここに来た。

心を奪うのに時間がかかり、一年が過ぎた。そして、心を奪うことに成功し、敏晴は春人を管理人に選び、年が取れるようにする

すると、この時点で、13歳となる

そこからどうやって2年で、5年分の時を過ごしたのか。それはよくわからない。

でもそれは、時空が入り乱れることが関係していると俺は思う

本来の時間枠では、俺と春人は同い年だ。だが、連れてこられた春人は12歳。3年の差がある

さらに、時空が不安定なこの世界では、時間の流れが不規則で、2年分時間の差が出てもおかしくない

そう考えると、春人と、雪が成長している説明がつく

江夏太陽がいなくなったのは、6年前。ここではなぜか、時間の流れが止まっていて、9歳の姿のまま

水無月コノハこと、石月木乃葉がいなくなったのは2年前。ここでは正しく時間が流れていて、同じ15歳

じゃあ、なぜ、友達だったのに、お互いの顔を忘れているのか

それは、管理人となった四人の場合、一度この遊園地に心を奪われているため、同時に記憶を失ったことが説明できる

そして、心を奪われた人間は、現実世界では死人となる。そして、この遊園地は現実世界ではない

だから、四人のことを上手く思い出せなかったのは、それで説明がつく

思い出せたのは、この謎を解きたいという願いからだと思う

どうかな、これで全部あっているかな?」

すると、敏晴は拍手をした

「素晴らしい、素晴らしいよ!俺ですらわからなかったことを、この遊園地の不安定な時空と結びつけて解明するとは、素晴らしいよ!本当に・・・・本当に俺のほうが、何もできないやつになってしまったじゃないか・・・・それに、まさか、俺の心を理解する、なんてね・・・・」

敏晴は、拍手をやめると、怒りの表情へ変わった。そして、腰にさしていた剣を引き抜いた

「ますます腹が立つよ、高晴には・・・・殺す、殺してやる!!」

どうして、どうして、心を理解できたというのに。俺は殺意を抱かれなくてはいけない?

確かに、敏晴は認めてくれたはずだ。もう一度家族でやり直したいという心を、なのに・・・・

ますますわからない、敏晴の心が・・・・

しかし、俺の身はどうなっても構わない。だから、何としてでも、俺が盾となって、空音を守らなければ・・・・!

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