表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影操師 ―誰かの記憶の物語―  作者: 伯灼ろこ
第一章 少女が生きた記憶
6/19

 6節 覚悟を決めた者

 女性は微笑む。つややかな顔を崩し、青い唇を震わせながら。

 女性は微笑む。青く半透明な皮膚で構成された身体を揺らしながら。

“初めまして、ごきげんよう”

 女性はこちらへ向かって小首を掲げ、優雅に挨拶の言葉を口にする。

 半透明の身体を覗き込むと、世界の真実が見えた気がした。あまりしげしげと見つめると女性は恥ずかしがるので、すぐに目を逸らした。

“貴方が私のご主人様になるのね。よろしくお願いします。お名前をお聞かせくださる? ああ、ごめんなさい。私にはまだ名乗る名が無いの。付けてくださる? うふふ、そうよ、貴方が私の名付け親になるの。だって貴方はーー”

 女性はあでやかに微笑みながら、次第に顔を曇らせてゆく。ーー何かを、思い出したようだ。

“……違う”

 違う? 何が違うのだろう。

 女性は両手で頭を抱え、肩を奮わせる。

“違うわ。私には、名前があるの。<あの子>が、付けてくれたの。私にピッタリだからってーー”

 ついに女性は顔を覆い隠し、その場にうずくまってしまった。


 女性が次に顔をあげた時、その表情には<覚悟を決めた者>の意思が刻まれていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ