13.転機
城で簡単な試験を受けた俺は、正式な親衛隊候補生となった。
でも、その試験内容に驚愕だ。
ホント『顔』と『腕』さえあれば、頭はすっからかんでも良いのだということが激しくうかがわれる。
俺の元居た国とは大違いだ。
一方アリシアは今までの経歴を生かして城で働く侍女に。
ウルフは本当は弱いのだが、体格の良さを認められて城詰めの兵士に収まった。
幼いリオンは、俺がもらう奨励金で扶養することになりそうだ。
古城の中に俺と弟、アリシア、ウルフ、それぞれに部屋も与えられ、雀の涙ほどの支度金も渡された。
ただし、部屋はずっと使われていなかったらしくホコリだらけで少しかび臭い。
……気が滅入るなぁ。
いや、贅沢を言ってはいけない。
もう俺は王子でも何でもないのだから。
それに部屋は元王城だけあって造りは良く、ちゃんと掃除すればそれなりに住めそうだ。
元中級貴族の城だと思っていたこの城は、実は正真正銘・王家の城だった。
とてもビックリしたが、よく考えたら小国の王城なんてこんなものか。
この国は元々かなり小さいので、王城といってもそこまでの規模ではないらしい。
そして革命が起こった後も、治安の酷さから体制に不安を抱き、王家の血を引くアルフレッド王を探し出して担いだ者はそれなりにいたようだ。
その者たちと共に作ったのがこの組織『ガルーダ』。
あの変わり者の王(仮)が、そう言っていた。
俺は一抹の不安と共にハタキを握って、まずは部屋に高く積もったホコリを払った。
誇り高き王子がホコリ高き部屋に住まうのか……シャレでも何でもなくつい考えてしまい悲しくなる。
しか今の俺は『定住出来る部屋』をもらえただけでも喜ばねばならない立場だ。
これ以上考えても仕方がないか……。
俺とは対照的に、本当に嬉しそうに拭き掃除をする弟と、まずは部屋を清潔にするべく頑張った。