12.転機
固まっている俺を気にすることも無く、男は何気にカッコつけながら話を続けた。
「君の弟も、将来素晴らしい美青年になりそうだが、いかんせん幼すぎる。
しかし君なら、2年でこの国の看板となる強く美しい男となるだろう。
そうすればお前を目当てに良い女がたくさんやってくる。
集まった美女を目当てに、質の良い兵隊もたくさん集まってくる。
美形軍団美女軍団のブロマイドもたくさん作り、大もうけが出来るハズだ……」
男はうっとりと言った。
アレ?
最初は王族の血がどうとか、高貴な組織がどうとか言ってなかったっけ?
大丈夫なのか? この男は。
『頭の切れる男』だとアリシアは言っていたが、むしろ『頭の回路が切れてる男』という印象が否めない。
それに、何だか話がセコイ方向に流れていっているような……。
アルフレッドと名乗ったその男の話は、それから延々2時間も続いたが割愛する。
激しく突っ込みたい事柄は多々あったが、俺たちはアルフレッド王(正式にはまだ王ではないらしい)の組織に入ることにした。
どのみち俺たちが生きていくためには、どこかに所属しなければ難しい。
なら、ブルボア王家の最後の生き残り、由緒正しいアルフレッド王の下で働きつつ、国造りを学んでいくのも良いだろう。
王が国造りを失敗したら、それはその時のことだ。
失敗は成功の母。
今はその気になれないが、いつかエルシオン王国再興を目指す気持ちになったとき、その失敗も多少の参考にはなるだろう。
別に俺たちの母国でもなんでもないのだから、ヤバくなればとっとと逃げ出せば良いしな。
……そんな気楽な気持ちで引き受けた。