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3.転機

 アリシアを見つめるリオンの瞳が冷ややかなものに変わった。

 何度も何度も見た、人を容赦なく切り殺すときの氷のような瞳。 

  

「……というわけで死んでくださいアリシアさん。

 ずるさを誇るあなたなど危険なだけです。

 それに、まだ奴隷の刻印を押されてない僕たちだけなら、そのような危険な国に行かずとも何とかなるばずです。兄様をそそのかさないで下さい」


 リオンがスラリとエラジーを抜いた。


「お、おい待て!! 駄目だっ!!

 母親を殺して、その上娘まで殺すなんて非道にも程がある。

 やったら許さないからなっ!!」


 そう言って手を広げ、アリシアをかばうとリオンは不満そうな顔をしながらも魔剣を収めた。


 ほっ……。


 これだからやっぱり、リオンを普通の国に連れていくのは相当のリスクがある。

 ただ、俺にも一つ分かったことがある。


 リオンはむやみに人を殺すのが好きな『殺人鬼』ってわけじゃない。


 いつも俺を想うあまり……俺を心配するあまり殺してしまうのだ。

 なら、俺がよく言い聞かせ、しっかりコントロールしていけば大丈夫なはずだ。


 だからそのラフレイム帝国とやらでしばらく暮らして、上手く感情をコントロールできるようになったら、すぐ他国に向かえばいい。


 リオンに剣を向けられたアリシアの方は、動揺もせずに笑っていた。


「あらヤダ素敵ね、弟君♥

 これぐらいでなきゃラフレイムではやっていけないもの~!

 それによく見ると本当~に良い魔剣ね、惚れ惚れしちゃう。オホホホホ♪」


 なんて言っている。


 過酷な奴隷生活で神経が飛んでしまっているのだろうか?

 リオンに本気で殺気をぶつけられたら、男でも足がすくむのに。

 俺には到底、理解できない。


 一方リオンの方も、


「お褒めにあずかり光栄です。

 今は兄様のお言いつけを守って危害は加えませんが、もし兄様を騙すようなことがあったら…………命以外の機能は全て諦めて下さいね」


 などと普段の内気さが信じられないような、殺気のこもった言葉を笑顔で吐いている。

 この見掛けは綺麗だが、殺伐とした二人に挟まれてラフレイムに行くのは気が進まない。


 進まない……が仕方あるまい。

 そう思って天を仰ぐのだった。


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