表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/451

3.異変

「……兄様、お怪我はありませんか?」


 心配そうに触れてきたリオンの手は、血でドロリとぬめっていた。


「は……放せ!!」


 どうして、こんな言葉をかけてしまったのか。

 リオンは命がけで俺を助けてくれたのに。


 俺の大事な弟なのに。


 でも俺は、こんなにも大量の殺戮を見たのは初めてだった。

 本当に気が動転していた。

 伸ばされた手を思わず振り払い、そのままぺたんと尻もちをついた。


 怯えていたのだ。

 この小さく華奢な弟に。


 その瞬間、リオンは何ともいえない悲しそうな顔をした。

 しかし新手の兵が現れるや否やそちらに向き直り、恐ろしいほどの冷徹さで殺戮を重ねていった。


 魔剣の威力は凄まじく、アレス兵たちが次々と絶命していく。

 近辺の大地は赤く染まり、悲鳴だけが響き渡る。


 もはやリオンに怯えているのは俺だけではなかった。

 体格のいい大人の敵兵ですら、リオンの化け物じみた戦い方に怯えていた。

 遠巻きに覗いていた数人の村人でさえ。


 半時たったその後、動く敵兵はもう居なかった。

 リオンに一閃で切り殺された敵の死体だけが、恨めしそうに宙を睨んだまま折り重なっている。


「うわあああああああああああああああああ!!!!」


 あの優しくて気の弱い、少女のように愛いらしい弟がこんな風に人を。

 精神がどうしてもついていかなかったのだろう、俺はそのまま意識を手放した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ