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再会小話5 だから、幸せに7

 天井裏から地下室まで、探して探して、探しまくったあげく、一つの黒い箱を見つけた。

 呪布でぐるぐる巻きにされていたが、リオンの『力』の方が強かったようでこちらもただの布と成り果てている。


「……あった」


「本体、見つかりました? 意外と小さいんですね」


 リオンも箱を覗き込む。


「いや、本体ではなくワタシの髪の毛の束だ」


 そこには銀を基調に虹色にきらめくワタシの髪があった。

 本体を傷つけることは、人間には出来ないはずだ。

 しかし、髪ぐらいならなんとか切り取れたようである。


 ザンギリにされたであろう本体の姿を想像して凹むが、髪の束が手に入っただけでも私にとっては意義がある。

 髪一本でも、実はエネルギーの塊なのだ。

 上手く使えば今後の助けとなるだろう。


 リオンはその束を見ながら、しみじみと言った。


「アースラ様、こんなところにコッソリと仕舞い込むなんて……カツラにでも使うおつもりだったのでしょうか?」


「はあッ?」


「だって、人間は年をとったら髪が薄くなるのでしょう?

 親しくしていた隣家のロミオさんも、こっそりとカツラをかぶっておいででしたよ。

 兄様の助言に従って見て見ぬフリしておきましたが……」


 そういえば、やけに髪だけ若々しい爺さんが、奴らの旧居の隣に住んでいたっけなァ。


『可愛い若奥さんがストーカー集団のせいで引っ越した』と、嘆きに嘆いていたけれど、リオンに少しでも若く見られたいばかりにカツラを被っていたのかもしれない……。


 リオンは『見た目だけ』は超絶美少女だからなァ。やれやれ。


 封印だけでなく、どうでも良い謎まで解けてしまったが、まあ気にしないことにして我が髪を手に取ってみる。

 懐かしい手触りに心もなごむ。いや、アリシアの髪だってもちろん美しいが。


「本当にきれいですね~」


 リオンも感心したように言って、指でワタシの髪をちょんちょんとつつく。


「でも、こんなに綺麗な髪なら、さぞかし素敵なカツラになることでしょう。

 流石はアースラ様、こんなにも良いカツラを用意なさっていらしたとは!!」


 リオンがまじめくさって言い放った。


 ……おいアースラ。オマエの人器が何かとんでもない事を言っているぞ。



 結局見つかったのはソレだけだった。

 何で髪の一部だけをあそこに大切にしまってあったのかは謎のままだが、カツラにするためではなかったと信じたい。


 



 

アースラは苦労が多かった割に、奇跡的にハゲませんでしたのでご心配なく!!

明日、ラストとなります。

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