表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
447/451

再会小話5 だから、幸せに6

 さて、リオンの力を借りて聖廟の前に転移してから数時間がたった。

 リオンはアースラから受けついだ技――――――あるいはその応用で、次々と封印を破っていった。

 恐るべき精度と応用力だ。


 こんな人間がこの世に存在し、この後も永遠とも呼べる時間を経ていくのかと思うと眩暈がする。

 そのうち上級魔族でさえ凌駕するようになってしまうのではないか?


 あんな悪辣なアースラでさえ、老いには勝てずに命を落とした。

 しかしリオンはこんな力を有したまま、ずっと生きていくのだ。内にヤンデレ魂という爆弾を秘めたまま。


 眺めているうちに、後方からかすかなうなり声が聞こえた。

 姿はまだ見えないが、狼の集団が我々を遠巻きに囲んでいる気配がする。


 リオンは術に集中していて、まだ気がついていないようだ。

 ここはワタシが奴等を追い払っておくか。

 今の体はアリシアのものだが、狼たちを威嚇して下がらせることぐらいなら出来るだろう。


 ……と思ったら、リオンが振り向いた。


「待って下さい!

 そんなことをしたら狼さんたちがおびえてしまいます!」


 はい?


 狼なんかに青ざめるタマではないのはわかっていたが、知っていて放置していやがったとは。

 ま、確かにリオンにとっては奴らなど、脅威でもなんでもない。

 地下神殿に住んでいた幼少の頃は『贄』として殺しまくっていたぐらいだからな。

 狼に慈悲の心を見せたことだけは少々意外だったが、それも心の成長ゆえのことだろう。

 別にいいなら放置しておくか。


 そうして間もなく、狼たちは輪を縮めだした。

 数は32頭。姿もはっきりと見える。

 リオンは封印を解く作業に夢中になったままだ。


 とうとう最初の一匹がリオンに飛びかかり、他のやつらも次々と襲い掛かっていった。


 だが当然、リオンにかなうわけがない。

 一匹残らず瞬殺だ。


「わぁ! 全部で64万YEEN❤」


 何かと思ったら、狼すべての値段だった。

 リオンたちの引っ越し先の村では森からやってくる狼の害が甚大で、死者も出るありさまらしい。

 そのため1頭駆除するごとに2万YEENで引き取ってくれるのだとか。


「引越し先でも結婚式をしようと兄様と話していたのですが、これで資金が出来ました!

 あ、でも僕がこういうことをすると兄様が嫌がります。

 今回だって『狼が出たら困るから、家から一歩も出ないように』ってホントは言われていたのです。

 申し訳ないけれど、狼退治の手柄はヴァティールさんのものとして役所に申請して下さいね。

 それから……もらった賞金は、あなたから僕らへの『結婚祝い』ということにしておいてくださいっ☆」


 リオンは返り血一つついていないフリルのワンピースを風にそよがせつつ、楚々と可愛らしく微笑んだ。


 祝いも何も、もう結婚したのは遥か昔じゃないかッ!!


 ズレてるところはそのままなのに、金にも汚くなりやがって……。

 でもあの馬鹿兄の目には今でも『純真無垢』に映っているのだろうなァ。やれやれ。


 ちゃっかりと狼の血の力も使って封印を解いたリオンは、満足そうにコチラを向いてうなずいた。


「さあどうぞ、ヴァティールさん。お待たせ致しました。

 これですべての封印が解けました。中も安全なはずです」


 ふむ。

 確かにすべての封印が解けている。

 怪しい気配も無い。


 廟の元の持ち主に敬意を払いながら家捜しする。




ちなみにエルも狼退治で結婚式の費用を作ろうと思っていました。(リオンに内緒で)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ