再会小話5 だから、幸せに2
かつてワタシが囚われていた、エルシオン城。
真っ先に探したそこは、巨大レジャーランドとなっており、ワタシの本体を見つけることは出来なかった。
次に探したのが、アースラが昔荒らした廟や遺跡。
ここもその一つだ。
目の前にひっそりと建つこの聖廟の大きさは、庶民の家ほどしかない。
偉人の聖廟としてはかなり小さい方だろう。
……が、これが中々の堅牢さな上、ばっちりと結界が張ってある。
おまけに普通の人間には見ることすら出来ない。
ワタシの体を隠すなら、ぴったりの場所だ。
アースラが得意としていた封印破りの術の痕跡をさっきから忌々しく眺めていたのだが、ワタシが開けることは中々難しそうだった。
糞アースラの趣味は墓荒らし。
多種多様の技を用いては器用に踏み込んでいたようだが、荒らしたあとは、ご丁寧にもきちんと閉じて封印を施している。
それも、開ける前よりもはるかに厳重に。
再び開けるには、魔族ですらかなりの技量が必要と思われる。
もちろんこんな封印、元の体の頃のワタシであれば、難なく開けられたことだろう。
ワタシの種族は強大な魔力に恵まれているため、大抵のことは『力』で押せば何とかなるのだ。
だがその分、細かいことは全く苦手。
一方、人間の範疇でしか魔力を持っていなかったアースラは、細かい粘着質な術は得意中の得意だった。
ヤツの陰険さをもって、ねちねちとかけた術を一つずつ解析して封印を解いていくのは、陽気で健全なワタシには到底無理と思われる。
かと言って力押ししたら、封印を破壊するより早く、愛娘の体のほうが壊れてしまうだろう。
くッ…………アースラめっ。どこまでも忌々しいヤツだッ!!
死後何百年もたった今ですら、このワタシを苦しめ続けるとは……!!
だが、このまま突っ立っていても始まらない。
バスケットを手にしたまま、目の前の遺跡をにらみつけ、決意する。
――――――ワタシは、どうしても『自分の体』を取り戻さねばならぬのだ。
そのためになら、どんな困難にも打ち勝ってみせるともッ!!




