再会小話4・リオンのトホホ外伝 4
3秒ほど沈んでいたリオンだったが、立ち直ったのか顔を上げた。
「……次は作戦を変えて、女の子と素敵な夜景を見に行くことにしました。
そこなら誰も『僕にだけ』奢ったりは出来ないでしょうし。
なのにやはり…………僕ばかりが男の人に声をかけまくられて、女の子は皆泣きながら帰ってそれきりです」
リオンはため息をついた。
ワタシも別の意味でため息をついた。
やはりな……リオンが女と二人でそんな場所に出かけたなら、そうなるに決まっている。
「で、今度こそあきらめたのかァ?」
「まさか。
兄様の弟たる僕が、たった一人にすらモテないなんて屈辱です。
諦めずに頑張ったら、1週間も付き合えるガールフレンドが出来たのです!」
リオンの顔が明るさを取りもどす。
「今度は他人が介入できないよう、彼女を家に呼んでのデートです。
行き帰りは馬車を使ったので村民にも冷やかされませんでしたし、食事は兄様が作って下さいました。
途中までは本当に順調だったのです」
そこでまた、リオンの顔が暗くなる。
「ふ~ん。でも実はその女、レズでオマエの事、本物の女だと思っていたりしたんじゃないのか?
人間の中には『そういうの』も存在するらしいからなァ?」
「ええ、そのパターンも30人ぐらいですがありました。
僕が本当に男だと知ると、皆さん、後も振り返らずに去っていきました。
でもその少女は違ったのです。
僕が女性でなくとも、ニコニコと毎日家に通って来て下さいました」
ハテナ?
それでも現在のリオンに女っけは無い。
いったい何をやらかしたのやら。
「でも、その女にも振られたのだろう?
まさか自宅であるのをいいことに、早速手でも出して嫌われたのかァ?」
そう問うワタシに、リオンは心外そうに首を振った。
「そんなことはいたしません。したいとも思いません。
ただね……その子が好きだったのは、僕ではなく兄様だったのです。
でも『二人の間にはとうてい割り込めない』と言って去って行ってしまいました」
ううむ。
重ねて言うが、エルは見てくれ だ け は極上だからなァ。
その外見に血迷う哀れな女が一定数いることは察しがつく。
哀れな女の中の一人が、手段を選ばずに近づいてきたのだろう。
ただしエルは、中身が残念過ぎる。
アリシアのような心の広い女でなければ、到底やっていけないだろう。
「でもね、最後の一人にも去られて落ち込む僕に、兄様は優しくおっしゃいました」
さっきとは打って変わって、リオンの瞳が輝く。
今後の展開が読めた。
もう、好きにしてくれ。
明日、ラスト回です。




