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そうだ、エルシオンランドに行こう!(再会編2)4

「良いのです。

 師は美しい花を誰かからいただくことも、見ることも……守った国民に感謝されることすらも無く短い生涯を閉じました。

 でもほら、見て下さい。

 師は美しい花々に囲まれ、生前には着ることの出来なかったドレスのような豪華な衣装に身を包み、人々の感謝を受けながら眠っています。

 だから、良いのです」


 棺の前にはノートが置かれており、確かに人々の感謝の意が綴ってあった。


『おかげ様で彼氏が出来ました』


『彼女と仲直り出来ました』


『今度二人目の子供が生まれます』


 ……エッ!!

 感謝されてさえいれば、あんなのでも十分なのかッ!?


 リオンの考えることはよくわからん。

 別にクロスⅦが恋の仲立ちをしたわけでもなかろうに。


 そもそも、アースラは神官たちに独身を強いていた。

 クロスⅦは恋愛の女神どころか、最も恋愛から遠い立場にいたはずなのだ。


 それでもリオンは師が人々に感謝され、その美しさを褒められている姿を見て満足なようだった。


 そうかァ。

 クロス神官はアースラの人器。ワタシにとっては忌々しいだけの存在だった。


 しかし、こんなことですら嬉しいのかと思うと、ちょっと涙が出そうだなァ。

 奴らもきっと、つらい人生を歩んできたのに違いない。


「僕はあなたと同時期に眠りにつきました。

 だからアルフレッド王が何を思って師を展示したのか、本当の事はわかりません。

 でも、……王は愛想の無い僕にすらとても優しい方でした。

 きっと若くして命を落としたクロスⅦを可哀想に思って、このような形で……まるで神のように祭り上げて下さったのだと思います」


 リオンが穏やかに語っているその肩越しに、目を泳がせているエルが見えた。


 ちがうなリオン。

 ワタシがエルと共に過ごしていた頃、奴はワタシに散々クロスⅦの悪口を言っていた。


 何がどう伝わってそうなったのかワタシにはわからないが、リオンを苛める『悪いオッサン』という認識しかしていなかったはずだ。

 面倒くさいのでワタシも訂正などはしなかったが――――――。


 だから、手のひらの紋章を使ってあの地下神殿を開き、そこに眠る美しいクロスⅦを見つけたときには仰天したに違いない。


 でも、美しくはあったものの『悪い奴』というところまで覆ったわけではなかっただろう。


 アルフレッド王が、何気にクロスⅦの遺体を使った商売を提案したときにはきっと、


「それは良い考えですね。きっとかなりの集客が見込まれますよ。

 是非やりましょう!!!

 そうして奴めを使ってガッポリと儲けましょうッ!!」


 とでも返事したに違いない。





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