表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
410/451

再会小話(前回外伝の数年後のお話)2

 そうして酒を飲んで気の良い人間たちと「あはは」と笑っているうちにガードが甘くなり、ごくごく稀にだが、通路をさり気なく横切る見知らぬ奴に触られてしまうことがある。


 昔のワタシなら、ソイツを大沼の底にでも転移させていただろう。

「何で人間ごときに尻を触られねばならぬのだ!!」と叫んでひと暴れしたかもしれない。


 今でもそうしたい気持ちは多少はあるのだが、アリシアの体で『同属殺し』をするのは気が引ける。

 あの子は不可抗力とはいえ、多くの人間を殺してしまった事をとても悔やんでいたからな。


 だから、こっそりと不届きな男を裏に呼び出して、ささやかな仕返しなどをしているのだ。


 なのに……。


「ヴァティール、それはいくらなんでもやりすぎだ」


 空気を読まない男・エルは、自分の元嫁の尻が触られたにもかかわらず、間抜けな言葉を吐いた。


 確かにワタシにシメられた男は泡を吐いてだらしなく気絶しているが、命に別状は無い。

 外傷もほとんど無い。


 ワタシはリオンほど無茶苦茶な奴ではないからな。力の加減はよく心得ている。


 コレはアレだ……そう、教育!!

 優しいワタシは男を裏に呼び出して、二度と女に邪念を抱かない程度にこうやってシメ上げ、教育しているのだ。


 女によこしまな気持ちを持って触ろうとしたら、そのたびに死を仮想体験できるという特別サービスつきの教育なので、再犯率は0%だ。

 

 世のため人のため、今日も良いことをしてしまった。

 天国のアリシアやエリスは喜んでくれているかなっ♪


 娘たちの笑顔に思いをはせていると、空気を読まぬ男が言った。


「……ったく。アリシアの体でそういうことをしないでくれないか?」


 エルは不機嫌そうだった。

 せっかくワタシが善行を積んでいるというのに。


 リオンのときもそうだったが、身に染み付いた小姑根性は一度死んでも健在なようである。

 とにかくコイツは昔から、ワタシのする事なす事、なんでも気に入らないのだ。


「取りあえず、騒ぎになる前に俺の家に来い。

 茶ぐらいは出してやる」


 おお、茶は出るのか!


 初めてエルに出会ったとき、リオンと住んでいたみすぼらしい里の家に招かれた。

 しかし、茶の一つも出てこなかった。


 それなのに今回はどうだ。

 ちゃんと成長しているではないか。


 ただ、気がかりなこともある。


「リオンはどうしているのだ?

 お前一人ってことはないのだろう?」


 リオンはあの憎っくき糞魔道士アースラの末だ。

 何度煮え湯を飲まされてきたことか。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ