表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
362/451

エルとリオンのトホホ外伝9

 次に向かったのはアリシアの奴隷、ウルフのところだ。

 彼は強烈過ぎる個性のアリシアと比べれば、大変影が薄い。


 大男であるのに、本当に薄いのだ。


 しかし最近彼女が出来たらしい。(城に来た当初はウルフがアリシアの彼氏役だったが、もちろん、とっくにアリシアに振られている)


 何故アリシアの奴隷かつ、とても薄い彼には彼女が出来て、俺には出来ないのだろう?


 そんな馬鹿な。


 ウルフに出来るなら、俺にだって一人ぐらい彼女がいてもいいはずだ。

 彼はいったい、どんな秘策を使ったというのだろう?


 俺はウルフのところに行くまでの道すがらにも、キョロキョロとあたりを見渡した。

 でも、やっぱりリオンにせまるほどに可愛い少女はいなかった。


 う~ん。

 どこかに素敵な彼女でも落ちていないものか……。

 リオンに年齢=彼女居ない暦がバレて軽蔑される前に、なんとかしたいのだが。


 今のところ、城で一番の美女はアリシアと言われている。

 しかし中身が男らしすぎるアリシアは、俺にとってそういう対象ではない。


 あれで楚々としていて性格も可愛らしければいいのに、男であるリオンと比べても格段に男らしい。

 いや、俺と比べてすら男らしい。


 アリシアも人間なので、悩み事の一つぐらいはあると思うのだが、彼女はいつも豪快で、そういう顔を見せることはまずない。

 俺を頼ることも全く無い。(こき使う事なら多々ある)


 涙を流したのだって母親が死んだとき一回きりで、後は実にサバサバとしたものなのだ。



 ウルフは雑務室に居た。

 噂の彼女と共に。


 うん、そばかすが似合う、素朴で可愛い雰囲気の女性だ。

 ウルフにお似合いの、ちょっと薄めな感じだが……どうやって知り合ったのだろう?

 

 今も差し入れを持ってきていたらしいが、穏やかに話す姿が感じ良くて、見た目の優劣はともかく性格は良さそうだ。


「初めまして。親衛隊所属のエルです」


 薄めのその女性に話しかけてみる。

 俺が話しかけると、大抵の女性は側に彼氏が居ようと俺にぼ~っとなるものだ。


「まあ! エル様。お会いできて光栄です!」


 ほらな。

 女性は俺を見て顔を輝かせた。


「先週の週刊『親衛隊の全て』私も買いましたわ❤

 遠目から見ても信じられないぐらい麗しいけど、近くで見ると、益々美形ですのねっ!」


「それはどうもありがとう」


 雑誌は定期的に数種類出ているようだが、親衛隊員ではないリオンが写っていることはほとんど無い。

 だから実は俺は、パラパラめくる程度にしか見ていない。


 『週間売り子』を読む方で忙しいからだ。(これには毎回リオンが多数出ている)


 でも、俺の代わりにリオンが熱心に読んでいたから、出来はマズマズと思われる。


 どうもウルフの彼女は『俺のファン』のようだ。

 俺は高嶺の花なので、俺と親交のあるウルフと仕方なく付き合ったのだろうか?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ