エルとリオンのトホホ外伝8
俺はもしや、弟にさえモテなくなったのかっ!?
というか、年齢=彼女居ない歴な男はやはりドン引きなのか……。
いや、そんな事はまだ、リオンにはバレていないはず。
ではいったいどうして???
アリシアあたりが、俺の居ぬ間に『何か』吹き込んだとか?
脳裏に「フフフ」と笑うアリシアの邪悪な顔が浮かんだ。
そうか、そうなんだなっ!!
「お前の兄は彼女居ない歴16年。筋金入りのモテない男だ」
と吹き込んだに違いない。
一人あわあわしていると、リオンがぽつりと呟いた。
「……兄様は僕の事を今でも『小さい身内』って思っていますか?」
リオンが俯いたまま言う。
「あ、ああ、まあそうだが……」
「だからそういう事を言うのですね……僕の気持ちを弄んで、酷い……」
「えっ……ええっ!?」
「いえ、いいのです。何でもないです。忘れて下さい。
でも僕は……僕は、今も昔も未来も、ずっとずっと兄様が大好きですっ!」
今度はリオンの方からぎゅっと俺を抱きしめてくれた。
ああ、可愛い。
やっぱり最高の弟だ。
そして、どうも年齢=彼女居ない歴がバレたというわけではなさそうだ。
さっきのはいったい何だったのだろう?
よくわからないけれど、リオンの機嫌は直ったようだからまあいいだろう。
う~ん、癒されるなぁ。
俺よりも少し体温が高めのリオンにぎゅっとされると、本当に気持ちがいい。
何か元気が出た気がする。
「ありがとうリオン。お前は本当に可愛いなぁ」
俺はすっかり満足して、リオンの頭をナデナデしてから身を離す。
「じゃ、俺、ちょっと行ってくるよっ♪」
リオンが『エ!?』という顔をしたが、男には行かねばならないときがあるのだ。
癒しに満たされた今なら、モテない男という汚名を挽回しに行ける!!
そして今日の休養日を逃せば、次の休みは一週間後だ。




