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アルフレッド王編・夢の国の果て 14

アルフレッド王編・ラストページです。

 エルと私の想いが『生者の傲慢』であると知ったのは、生き返ったあの子の涙を見たときだ。


 私たちが勝手に心の中にしまい込み、割り切り、理想化していた少年は『あの体の中』で生きていた。

 生きて、理不尽なこの世と私たちを恨んでいた。


 美化された思い出の中の彼とは全く違う形相で、彼は魔物のように笑い続けた。

 あとは知っての通り。


 私は悔やむ。


 心から悔やむ……多分一生涯。


 どうして気がついてあげられなかったのか。

『お帰り』と言ってあげられなかったのか。


 あんなに寂しい目をしていた子供を、一人で逝かせてしまったのか……。


 それでも一緒に死んでやるわけにはいかないのだよ。

 エルも多分同じだ。


 私は国のために。

 エルは妻と、これから生まれ来る子供のためにも生きて歩まねばならない。


 それが人間の持つ『責任』と言うもので、軽々しく投げ出してよいものではない。


 私たちは美しい棺を用意して、リオンを丁重に葬った。

 今の私に出来る精一杯……それは、そんな程度のことでしかない。


 しかし見るがいい。

 花に埋もれるようにして眠り続ける彼の横顔は、あまりに寂しく悲しいものだった。

 

 悔やむ。


 私は悔やむ。


 最後の一息まできっと悔やみ続けるのだろう。



 fin



読んで下さった皆様ありがとうございます。

アルフレッド王編、どうだったでしょうか?


本編ではわりと物分りが良い優しい上司ですが、実はけっこう腹黒い(?)けれど優しいところもあるこんな人でした。


でも、本編や外伝にチラチラ書いた人物像を統合するとそんなにイメージは変わらなかったかも?


アルフレッド王は美形というわけでもなく、出番も多いとは言えませんが、私の中ではけっこう好きなキャラです。


でも人は『自分の事』はよく見えず、相手の事は『わかったつもり』になりがちです。

リオンの望みを正確に理解していなかったことはもちろんですが、エルも王も、リオンの事を何とか割り切り、その様子を見て、


「兄なのにもう忘れてしまったのか……」


「王なのに、あれだけ国のために頑張ったリオンのことはもうどうでもいいのか……」


と、お互い思っておりました。


ラストでは王はエル同様とても悔やんでいますが、後日棺の中で笑ってるリオンを見てますので大丈夫ですよ~。


ある日、フッとリオンの元を訪れて、そうしたら彼が笑っていたのでエルが何かしたのだろうと思いある程度安心しています。

何があったか聞いてはいませんが。


本当はその辺りまで今回のお話に突っ込めたら良かったのですが、ラストの締りが悪くなりそうなのでやめました。ううっ、残念……。


次の番外編は2週間後の予定です。

誰になるかは、また活動報告でお知らせします。



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